去る2014年4月、Windows XPのサポートは完全に終了した。だが、ノークリサーチが1000を超えるユーザー企業を対象に調査した結果、年商500億円未満の中堅・中小企業に残存するWindows XP搭載PCの台数は、2014年4月時点で300万台に上ることが分かった。
この数字を見て、「小規模企業(年商5億円未満、従業員数20人未満)における残存が大半だろう」と考える方が多いかもしれない。だが、“Windows XP残存問題”は小規模企業だけでなく、実は中堅企業にもある。そこで、今回は残存するXPについて前編、後編(8月19日公開予定)の2回に分けて、考えていくことにしよう。
移行が完了している割合は小規模企業の方が高い
ノークリサーチは、中堅・中小企業を年商(IT投資額との相関が最も強い企業属性である)に応じて以下のように分類している。
中堅Hクラス | 年商300億円以上~500億円未満 |
---|---|
中堅Mクラス | 年商100億円以上~300億円未満 |
中堅Lクラス | 年商50億円以上~100億円未満 |
中小企業クラス | 年商5億円以上~50億円未満 |
小規模企業クラス | 年商5億円未満 |
このうち、今回焦点を当てようとしているのが年商50億円以上~100億円未満の「中堅Lクラス」である。このクラスは、IT活用に際して生じる課題と、それを解決する社内体制のギャップが大きい企業層だ。なぜなら、このクラスは中堅Mクラスや中堅Hクラスに比べると、ITの管理や運用を専門に担当する社員がおらず、他の業務と兼任でカバーしていることが比較的 多い。その一方で、中小企業クラスや小規模企業クラスと比べ社員数やシステム規模は大きいからだ。
現時点でWindows XPが残存するユーザー企業においても、「人員や予算が不足している」といった悩みを抱えているケースが少なくないだろう。つまり、中堅Lクラスが「Windows XPに関連してどのような課題を抱えているか」を知ることは現時点でXP環境が残存する多くの中堅・中小企業にとっても参考となるはずだ。
以下のグラフは2014年4月時点におけるWindows XP残存状況を尋ねた結果を小規模企業クラスと中堅Lクラスとで比較したものである。
意外に感じられるかもしれないが、「XP搭載PCは全く存在しない」の回答割合は中堅Lクラスよりも小規模企業クラスの方が高い。一方、「XP搭載PCは残存しているが、新しいOSへ移行する確実な計画がある」(※1)の回答割合は中堅Lクラスの方が高くなっている。つまり、中堅Lクラスでは、移行を進めていたが2014年4月には間に合っていない、というケースが多いことになる。
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