昨今、「RPA(Robotic(s) Process Automation)」(ロボティック・プロセス・オートメーション)というキーワードに注目が集まっている。これまでヒトが担っていた作業(主にオフィス業務)を自動化し、業務効率を改善しようとする技術の総称だ。今回は「なぜ今、RPAが注目を集めるのか?」「どのような技術なのか?」を見ていくことにする。
依然として多い「隙間の手作業」
政府は2019年度からの実現を目指し、「働き方改革」関連の法案整備を進めている。その推進母体「働き方改革実現会議」が掲げる9分野には、「労働生産性の向上」や「長時間労働の是正」も含まれる。だが、「プレミアムフライデー」の実施率が低迷している現状が示唆するように、業務負担そのものが軽減されなければ労働時間の短縮は難しい。
企業には既に会計管理、販売管理、人事給与管理、顧客管理、各種コラボレーションツールなど数多くの業務システムが導入されている。にも関わらず、「労働生産性の向上」や「長時間労働の是正」が依然として課題視されているのはなぜだろうか?
その大きな要因の一つが、業務システムの“隙間”に残る手作業の存在だ。日々の業務を見つめ直してみると、今ある業務システムだけではカバーできない、ヒトによる手作業は意外に多い。いくつか具体例を挙げてみよう。
ここで挙げた3つのケースに共通するのは、「業務システムは既に導入されているが、拠点間・システム間・役職間によってデータの書式や用途/目的に微妙な違いがあり、そこを埋めるためにヒトによる手作業が発生していることである。「隙間の手作業」は、現実に無視できない負担となっているわけだ。