企業が何らかのITソリューションに費用を投じるまでには、「認知」「提案/計画」「判断/決裁」といった段階がある。今回はそうした「企業におけるIT投資の意思決定プロセス」に関する調査結果を俯瞰しながら、企業がIT活用で直面する障壁をどう回避していくべきかを考えていくことにする。

標準的な意思決定プロセスと自社の状況を比較してみる

 まずIT投資における意思決定の全体像を確認しておこう。以下のグラフは年商500億円未満の企業700社を対象に、IT投資の意思決定プロセスにどのような立場の人々や情報源が影響を及ぼしているかを尋ねた結果である。

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 上記の円グラフは、「経営層」「現場部門」「IT関連部門」「既存の販社/SIer」「Webサイト検索」の5つの要素について、その影響を尋ねた結果である。色分けされた選択肢はIT投資における役割を表している。各選択肢の意味合いは以下の通りである。

  • 「認知のきっかけ」:ITソリューションを最初に知るきっかけとなる役割を果たす
  • 「提案や計画を担う」:IT投資を提案し、計画を立案する役割を果たす
  • 「判断/決裁を担う」:提案や計画の内容を吟味し、導入可否の判断/決裁を行う
  • 「全く関連がない」:IT投資の意思決定には一切関わらない

 例えば、「既存の販社/SIer」グラフの「認知のきっかけ」は、「販社/SIerの営業から紹介を受けた」といったケースにあたる。また、「現場部門」グラフの「提案や計画を担う」は、「現場部門主導で、生産管理システムの導入計画を立てる」といったケースが該当する。「経営層」グラフの「全く関連がない」は、「経営層はIT活用に一切関与せず、IT関連部門に全て任せている」といったケースが当てはまる。

 ここでまず注意したいのは、IT投資に関する意思決定を担うのは「経営層」「現場部門」「IT関連部門」といった社内の人材だけではないという点である。実際、業務システム刷新の計画/立案を「既存の販社/SIer」に依頼する、あるいは製品/サービスの選定時に「Webサイト検索」をする、といった場面は少なくない。実際に何らかのIT投資に取り組む際には、販社/SIerといった外部の人材のほか、Webサイトのような情報源が影響力をもつことを忘れないようにしたい。

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