IT関連のニュースには「ビッグデータ」というキーワードが毎日のように登場する。報道される事例の多くは大企業によるものだが、「データを集計/分析してビジネスに活用する」ことは企業規模に関わらず重要な取り組みであるはずだ。
実際、「ビッグデータというほど本格的なものでなくても、データをビジネスに活かす取り組みを始めてみたい」と考える中堅・中小企業は少なくない。そこで今回は「ビッグデータにつながる第一歩」とは何か?ということを、調査データを元に考察していくことにする。
新たなIT活用領域の中でも「ビッグデータ」の市場規模は大きい
そもそも、ユーザー企業におけるビッグデータへの関心はどのくらい高いのだろうか。以下のグラフは、年商5億円以上500億円未満の企業に対して、「今後3年以内に投資する可能性のある新たなIT活用領域」を尋ね、その結果を元に2015年の潜在的な市場規模を算出したものである。
選択肢に挙げられた各項目の定義は以下の通りだ。
ビッグデータ:業務システム、ソーシャルネットワーク、各種センサー、行政などが管理/収集するオープンデータなど、従来より大容量かつ多種多様なデータをリアルタイムに(もしくはそれに近い短時間で)集計/分析することによって、顧客ニーズやビジネスの状況を詳細に把握/理解し、より精緻/迅速なビジネス活動に結び付けようとする取り組み。
ソーシャル:TwitterやFacebookといったソーシャルネットワークサービスから情報を得ることで顧客ニーズを把握したり、ソーシャルネットワークサービスを通じて自社または自社の商材の認知を高めようとする取り組み。
デジタルサイネージ:看板や自販機などの画面を電子化/ネットワーク化することで、動的な情報の表示や利用動向の把握を可能にする取り組み。
IoT/M2M:製造装置、エレベータ、自販機などの様々な機器を通じて得たセンサーデータをシステム側で収集/分析することで、機器同士が双方向または自律的に動作できるようにし、新たな付加価値や全体の効率化/省エネ化などを実現しようとする取り組み。
ウェアラブル:ウェアラブル端末(スマートグラス、スマートウォッチなど)を活用することによって、PCやスマートデバイスでは従来カバーできなかった場面におけるIT活用を実現しようとする取り組み。
市場ポテンシャルを見ると、ここに挙げた5つの項目の中では「ビッグデータ」が最も大きいことが分かる。ユーザー企業はビッグデータに高い関心を抱いているとみてよいだろう(「ウェアラブル端末で収集したデータを収集/分析する」などといったように上記の5つの項目にまたがる取り組みもある。このようなケースをどう扱っているかについては、後述する)。