2018年以降、企業の基幹系システム刷新が盛んになっていくことが予想される。主要ベンダーによる製品リニューアルやサポート終了が相次いだことがその主な要因だ。基幹系システム刷新を機に、「これまで実現できなかった機能を取り入れたい」と考える企業は多い。

 だが、「ある機能を加えたために、別の新たな課題が発生する」という可能性もある。もし「新機能を加えた時に何が起きうるか」を事前にある程度推測できれば、基幹系システムの刷新を着実に進めることができるだろう。今回はそうした場合に役立つデータ分析手法について、ユーザーが基幹系システムに求める機能に関する調査結果と共に、見ていくことにしよう。

基幹系システムベンダーの活発な動き

 本題に入る前に、基幹系システムに関わる昨今の動向を確認しておこう。中堅・中小企業向けの基幹系システムでは、2016年の終盤から現在に至るまで、主要ベンダーによる製品リニューアルが相次いでいる。富士通の「GLOVIAシリーズ」、OSK(大塚商会)の「SMILEシリーズ」、NECの「EXPLANNERシリーズ」など、代表的なベンダーがそれぞれ、新しい製品ラインアップを展開している。

富士通GLOVIA iZ詳細
OSK(大塚商会)SMILE V詳細
NECEXPLANNER/Z詳細

 また、大企業向けでは「SAP ERP」の保守サポートが2025年に終了することが発表され、「SAP S/4HANA」への移行が不可避となっている。2025年と聞くと、少し先のようにも思えるが、大企業のシステム規模を考えれば、今から検討を開始しても決して遅くはないだろう。

 このような動きから、2018年以降、中堅・中小企業から大企業に至るまで、基幹系システムの刷新に取り組むユーザー企業が増えると予想される。

「多くの企業が求める機能」なら導入すべき?

 相当の時間と費用をかけて基幹系システムを刷新する以上、ユーザー企業が「これまで実現できなかった機能を取り入れたい」と考えるのは当然だ。以下のグラフは年商500億円未満のユーザー企業に対し、「会計管理システムの製品/サービスが今後持つべき機能や特徴」を尋ねた結果である。回答件数の多かった項目を抜粋している。

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 最も回答が多かった項目は、「収益の予測やシミュレーションによる予実管理ができる」(以後、「機能A」と呼ぶ)であることが分かる。

 このような調査結果を見ると、「我が社でもぜひ導入を」と考えるかも知れない。もちろん、システム要件として以前から挙がっていたのであれば問題ないが、そうでない場合は一度立ち止まって検討する必要がある。「多くのユーザー企業が求めている機能や特徴」が、必ずしも自社の要件に合致するとは限らない。

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