人口が減少しつつある日本で新たなビジネスを開拓するためには、海外の市場や先進技術にも目を向ける必要がある。しかし、個々の企業が独力でそうした取り組みを進めることは難しく、「行政の支援策」を求めたくなる場面も少なくない。もちろん、企業自身が「IT活用による改善/強化」に取り組むことも重要である。

 このような場合、果たして「行政の支援策を受けた後にIT活用に踏み出す」のと、「他社に先行してIT活用を進めた後に行政の支援策を受け、さらなる拡大を目指す」のとでは、どちらが得策なのだろうか?

 今回は外国人観光客を対象としたビジネスを例にとり、調査データの分析を交えてこの問いへの答えを探ってみる。

 政府は「年間の訪日外国人観光客数4000万人」を2020年に達成することを目標に掲げている。日本の製品/食材/文化などに対する世界の注目も集まっている今、政府のこうした取り組みは様々な業種の企業にとって大きなチャンスと言えるだろう。

数ある「行政の支援策」とその成果

 ノークリサーチでは、ビジネスとITの双方の視点から様々な調査を行っている。その中から訪日外国人観光客4000万人達成に向けた「行政による支援策」に関する調査項目をピックアップした。

インバウンド対応支援訪日外国人観光客の「呼び込み」を強化する取り組み
シェアリングエコノミー民泊やライドシェアなどを推進する取り組み
クールジャパン日本の商材や文化を諸外国にアピールする取り組み
国家戦略特区/地方創生特区特定地域で規制を緩和し、新規ビジネスの試行を促す動き

 「クールジャパン」によって海外への情報発信を強化し、「インバウンド対応支援」を通じてより多くの外国人観光客に訪日してもらう。民泊などの「シェアリングエコノミー」などでコストパフォーマンスや利便性を確保するが、その際に必要な規制緩和は「国家戦略特区/地方創生特区」で実行する、というように、これら4つの支援策は互いに深く関連している。

 ノークリサーチが年商500億円未満の企業700社を対象とした調査では、上記それぞれの支援策について「どれだけ効果が期待できるか?」を以下のような選択肢で尋ねている。

  • 「業績にプラスとなり、IT支出も増える」:経常利益が増え、それを実現するためのIT支出も増える
  • 「業績にプラスとなるが、IT支出は増えない」:経常利益が増えるが、IT支出の増加にはつながらない
  • 「業績にマイナスとなるが、IT支出は増える」:経常利益は減るが、それを改善するためのIT支出は増える
  • 「業績にマイナスとなり、IT支出も増えない」:経常利益は減り、IT活用はその有効な改善策とならない
  • 「今は判断できないが、動向に注目している」:業績やIT支出の判断が難しいが、今後の動向については注目している
  • 「自社のビジネスには全く関係ない」:経常利益とIT支出のいずれの観点においても、自社のビジネスとは全く関係ない

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