サーバーや業務アプリケーションに関しては、クラウド活用による「所有から利用へ」の変化が既に始まっている。さらに、昨今ではワープロ、表計算、プレゼンテーションなどの「オフィスアプリケーション」についても、従来のパッケージ購入とは異なる新しい購入形態が登場し始めた。

 今回は「オフィスアプリケーション」に起きつつある変化について見ていくことにする。本稿で例示する購入形態の具体例は2016年3月現在の情報を元にしているので、実際に購入を検討する場合などには、各製品/サービスの最新情報を適宜ご参照いただきたい。

検討すべきは「費用の按分」だけではない

 まず、既存の購入形態について確認しておこう。従来型の「オフィスアプリケーション」の購入形態は大きく以下の2つに分けられる。

(1)単体のパッケージ購入
 PCとは別に「オフィスアプリケーション」のパッケージを購入する形態である。複数台のPCにインストール可能なライセンス体系となっていることもある(例えば、「Microsoft Office」の場合にはPC2台まで可能)。新しいバージョンを利用したい場合は、買い替えまたはバージョンアップの差額を支払う必要がある。

(2)パッケージのプリインストール
 パッケージを事前にインストールしたPCを購入する形態である。PC購入代金に「オフィスアプリケーション」の費用も含まれる。「単体のパッケージ」とは異なり、他のPCで利用することはできない。新しいバージョンを利用したい場合は、買い替えまたはバージョンアップの差額を支払う必要がある。

 これらに加えて新たに登場したのが、以下に述べる「サブスクリプション契約」と「PCとのバンドル購入」である。

(3)サブスクリプション契約
 1ユーザー当たりの月額(1000年程度)を支払い、「オフィスアプリケーション」を利用する形態である。アプリケーションがPCにインストールされるという点は従来型の(2)と同じだが、ネットワークを介して常に最新のバージョンが適用される点が異なる。また、複数台のPCで利用可能であり、許容されるPC台数や端末の種類は従来の購入形態よりも一般的に多い(例えば、「Microsoft Office」のサブスクリプション契約では1つの契約でWindows/Macを問わず5台までのPCで利用でき、iPadやiPhoneでも利用可能)。

 また、上位のサブスクリプション契約では文書管理、メール/スケジューラ、Web会議/チャットなどのクラウドサービスが利用できるものもある。

(4)PCとのバンドル販売
 PCと一緒に購入するという点では「パッケージのプリインストール」と同様であり、他のPCで利用することもできないが、ネットワークを経由して常に新しいバージョンが反映される形態である。

 これら4つの購入形態を整理すると以下のようになる。

図●オフィスアプリケーションの購入形態
図●オフィスアプリケーションの購入形態
[画像のクリックで拡大表示]

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。