日本にオフコンが広く普及した1960年代から1980年代にかけては、全国各地のコンピュータ販売会社(以下、販社)やシステムインテグレータ(以下、SIer)が、オフコンの導入やサポートを担うという形で、地場の中堅・中小企業のシステム化を支えていた。この時期に構築された、主要コンピュータベンダー(NECや富士通など)による販売チャネル網は、今もサーバーを中心としたIT商材の流通で、大きな役割を果たしている。

 しかし、オフコンからPCサーバーへの「オープン化」や、それまでハードと一体で提供されていた業務システムの「パッケージ化」が進むにつれて、人月換算で料金が決まるプログラミングや、システム維持のための保守/サポートといったサービスに、それまでのように多額の費用をかける必要性は薄れてきた。こうしたサービスに代わる収入源として、各地の販社/SIerは大都市圏での大型案件獲得に力を注ぐようになり、その結果、地場のユーザー企業との関係性が薄れてきているという指摘もある。

 その一方で、昨今ではクラウドやスマートデバイスといった新たなIT活用の手段が登場し、ユーザー企業の間では、それらを用いた新たなビジネス展開への期待が高まっている。だがその実現には、個々のユーザー企業が置かれた環境を身近に実感できるパートナーが欠かせない。

 つまり、地方を含め日本全体でIT活用のレベルを高めていくためには、ユーザー企業と地場の販社/SIerとが再び緊密に連携していくことが大切なのではないだろうか。今回はこうした「各地の中堅・中小ユーザー企業と地場の販社/SIerとの関係」について考えていくことにする。

地方の中堅・中小企業におけるIT活用は遅れている?

 IT活用と地域性という話題になると、「地方の中堅・中小企業におけるIT活用は遅れている」という前提から話が始まることが多い。だが、本当にそれほど顕著な差があるのだろうか。 まずは調査データを元に全体像を俯瞰しておこう。

 以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業(日本全国)に対し、「地域によってIT活用の進み具合に差が生じる要因として考えられる事柄」を尋ねた結果である。これを見ると、「地域によってIT活用に格差があるとは考えていない」という回答は、約4割に達している。また、「業種による格差があり、地域によって業種に偏りがあるため」という回答も、3割強に上っている。確かに農林水産業が多い地域とサービス業が多い地域とでは、IT活用のレベルに差が出るのは当然だろう。

図●地域によってIT活用の進み具合に差が生じる要因として考えられる事柄(複数回答可)
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 このように、「地域によるIT活用の格差」は単に地理的な条件だけでなく、業種も含めた複合的な要因によるものと見るべきだろう。逆に言えば、大都市圏ではない地方においても、ユーザー企業と地場の販社/SIerが緊密に連携することで、クラウドやスマートデバイスなどを基盤とした新たなIT活用のプラクティスを生み出すことが可能なはずだ。

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