2017年は政府が主導する「働き方改革」への取り組みが本格化する年となりそうだ。だが、「仕事量が減らない状況で労働時間だけを短縮するのは難しい」という声も少なくない。ITは本来、こうした状況においてこそ活用され、従来よりも少ない労力でより多くの成果を上げる役割を担うものであるはずだ。そこで今回は、「働き方改革」を進めるためのIT活用とは何か、という問題を考えてみることにする。

IT商材を起点とした捉え方は混乱しやすい

 「働き方改革」と共に「ワークスタイル改革」という用語を耳にする機会も増えてきた。従来よりも少ない労力でより多くの成果を上げるという目標は同じだが、前者が「企業の人事制度などを変えていこうとする政府主導の取り組み」としての色合いが濃いのに対し、後者は「ITによる効率的な働き方の実現を目指したスローガン」として用いられることが多い。

 本連載のテーマはユーザー企業におけるIT活用なので、以降では「ワークスタイル改革」を通じて広い意味での「働き方改革」を進めていくためにはどうすれば良いのか、ということに焦点を当てていく。

 下のグラフは年商500億円未満の企業を対象として「ワークスタイル改革」という用語に対する印象を尋ねた結果を、2015年と2016年で比較したものだ。

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 2015年から2016年にかけては、「コスト削減に寄与するIT活用分野と捉えている」や「売上増に寄与するIT活用分野と捉えている」といった肯定的な選択肢の割合が低くなる一方で、「IT企業が作った宣伝用語として捉えている」の割合が高くなっている。

 政府も注力する「働き方改革」に即した取り組みであるにも関わらず、ユーザー企業は「ワークスタイル改革」という用語に対し、必ずしもポジティブな印象を持っていない状況にあると言える。それは一体何故だろうか?

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