BI(ビジネスインテリジェンス)ツールが日本の企業に浸透してきている。しかし、成果が出ていると評価している企業は、全体の半数に過ぎない。ツールの導入により、実績を確認することは容易になったものの、原因の究明や将来の予測といった意思決定の変化に貢献しやすい、一歩進んだデータの活用ができていないことが、その一因であると思われる。

 ガートナーでは年に2回、ユーザー企業へのアンケート調査「ITデマンド・リサーチ」を実施している。この中でBIツールの導入状況を、3年に一度のペースで調査している。

 直近の2016年11月の調査では、国内企業の37.4%がBIツールを導入済みだった。大企業に限定すれば、導入率は8割を超える。

 調査からは、BIツールの導入が年々順当に増えていることも見えている。BIツールを利用中/導入中と回答した企業は、2007年に17.9%、2010年に22.6%、2013年に30.1%、2016年に37.4%である。まだ導入していないが3年以内に新規導入予定の企業も2016年時点で5.0%いる。

 一方で、BIプロジェクトの成果についての調査では、「成功した」と回答した企業は全体の半数でしかない。期待通りと高く評価している例にいたっては、全体の1割でしかなかった。具体的には、期待以上の成功(1%)、期待通りの成功(9%)、ある程度は成功(22%)、どちらかというと成功(19%)の四つを足して51%になる。

 期待したほどの成果が得られてないと感じている企業の期待は何か。多くの場合、ユーザー企業の導入責任者がBI導入で期待していることは、より良い意思決定が可能になり、ビジネス成長に貢献することである。意思決定の支援ではなく、「こうしなさい」と最適な行動を指南してもらえるのなら、それが最も望ましいといえる。

 一方で現在のBIは、過去の実績を確認するという使い方にとどまっていることがほとんどである。データ分析の適用分野は、(1)実績の確認(どこで売れたのか)、(2)原因の究明(なぜ売れなかったのか)、(3)将来の予測(今後どれだけ売れるのか)、(4)資源の最適化(どんな施策に投資するか)、の四つに分類できる。実績の確認が最も難易度が低い半面、意思決定につながるまでに「人」による影響や介入を最も多く受けやすい。一方、資源の最適化は実現難易度が高い半面、いったん利用し始めれば、分析結果の入手から「人」による影響や介入は受けにくい。

 調査によると、実績確認以外でのデータ活用は販売系は原因の究明が20%、将来の予測が25%と、その他の領域と比べると進んでいる。しかしそれでもせいぜい2割程度でしかない。

 その他の分野の場合、物流系は原因の究明が7%で将来の予測が7%だった。生産系は原因の究明が10%で将来の予測が7%、財務系は原因の究明が10%で将来の予測が12%である。

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