では、企業は何をすればいいのか。最も重要なことは、IoTをビジネス視点でとらえるということだ。「テクノロジーありき」、すなわち、手元にあるテクノロジーをじっと眺めて、これで何ができるだろうか、という視点だけでとらえようとすると、無理に複雑なシステムを作ろうとしたり、誰も欲しがらないものを作ったりしてしまう。

 しかし、IoTをビジネス視点でとらえるのは、簡単そうで、実は結構難しい。

自社の製品・サービスを再評価する

 まずは、既存顧客や潜在顧客、パートナーなど、いろんな世界中の企業やそれこそすべてがインターネットでつながっている、ということを前提にビジネスの絵を描く---これが大事だ。世界中のリソースがインターネット経由で利用できる状況で、何ができるか。こういうとらえ方をするのが、一番重要だ。デジタル・ビジネスでは、ビジネスの前提条件がこれまで大きく変わることを認識し、従来のさまざまな常識を再評価することが不可欠である。

 そのうえで、自社の製品やサービス、あるいはサービスの提供場所や店舗に関して、「IoTでインパクトを出せるかどうか」「IoTでどんな影響を受けるのか」といった点を再評価する。これは、ぜひ、やっていただきたい。

 自社の製品やサービスだけではなく、社内の業務プロセスも、IoTによるビジネス変革の対象としてとらえるべきだ。例えば、経理や販売、調達のデータは、担当者が、Excelを使って関連部署とコミュニケーションをとりながら勘と経験に基づいて処理していることは珍しくない光景だろう。これを、IoTのテクノロジーを活用することで、自動化し、より即時性のあるかつより正確なデータを利用できる可能性がある。

 IoTのインパクト(1)---IoTがビジネスにもたらす4つの価値とはで見たように、IoTを活用した課金が普及すると、「所有」から「利用」への流れが強まる。このため、自社で所有している様々なリソースについても、これまで通り購入する方がいいのか、それとも買わずに使った分だけ支払った方がいいのかを、再評価する必要もあるだろう。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。