データセンターのあり方について、中長期的に考える時期に来ている。現在では、データセンターのインフラ基盤として、第三者が運営するクラウドサービスを利用するケースが増えてきた。業務アプリケーションやデータが各地に散在することも珍しくなくなった。
データセンターを自社で運営するのか、外部のデータセンターを借りるのか、クラウドサービスを利用するのかなど、データセンターの形態は様々だ。さらにDR(災害時復旧)サイトをどう設計するか、といった課題もある。
最近では、Amazon Web Services(AWS)の「Direct Connect」やMicrosoft Azureの「ExpressRoute」ように、クラウドサービスに直接接続できるサービスが登場している。データセンターの実装やあり方について考える機会も増えている。
以前のデータセンターは、ITシステムをきっちりと運用する場所として、堅牢でセキュアな環境を提供するという意味を持っていた。現在では様相が変わってきており、外部データセンターと組み合わせるハイブリッド化が進むにつれて、ガバナンスやセキュリティ、パフォーマンスがうやむやになっている。
こうした状況の下、データセンターとは何かを再定義する必要性が増している。データセンターとは、アプリケーションやサービスをユーザーに提供するものである。これをどう設計してどう管理していくかについて、長期的なビジョンを描かなければならない。
データセンターのバックエンド接続について再考せよ
データセンターのあり方について考える際には、拠点やモバイル網からデータセンターにアクセスするフロントエンド部分だけではいけない。外部データセンターと接続するバックエンド部分についても考える必要がある。
企業のデータセンターは、ネットワークの終端ではないからだ(図1)。データセンターのバックエンドには、セカンダリデータセンターがあったり、外部のクラウドサービスに接続してあったりする。