現在の日本では組織のあり方が変わり、社員同士が直接会話をするような機会が少なくなる一方で、電子メールなどを使う割合が増えて、社内コミュニケーションがうまくいってないと感じている企業が多い。こうした中、UC(統合コミュニケーション)ツールを活用してコミュニケーションを活性化させようとする需要が徐々に高まっている。

 これまでUCはあまり普及しなかった。PBX(構内交換機)を更改する際に、UCを導入するよりも再度PBXを更新した方が安くなったからだ。加えて、音声サービスの通話料も安くなった。ガートナーは「電話はいずれUCになる」と予見しているが、UCの普及までには時間がかかるだろう。

 しかし、2015年末からUC市場は大きく動き始めた。導入率は徐々にではあるが増加傾向にあり、従業員数2,000人を超える規模の企業では2割を超えた。要因は、スマートフォンやタブレットを使うモバイルコミュニケーションの手段が浸透したことと、既存のコミュニケーション手段の隙間を埋める新しいツールが普及したことだ。

 これまでのUCは、パソコンと電話をつないでマウスクリックで電話をかけるスタイルだったので、あまり相手にされてこなかった。現在では、モバイル端末が普及し、電話を代替する手段としてWeb会議やIM(インスタントメッセージ)/チャットなどが使われるようになってきた。

会議と電子メールだけでは現在の企業は回らない

 ユーザー企業では長きにわたって、電話とともに、会議と電子メールという両極端の二つのコミュニケーションツールが使われてきた。ところが、時代が変わって社員間のコミュニケーションが難しくなる中で、これらのツールだけでは立ちゆかなくなってきた。

 会議の特徴は、時間と空間の両方を共有することだ。社員が一同に、視覚や聴覚だけでなく全感覚をフルに使ってコミュニケーションを取る。雰囲気も共有するなど、リッチなコミュニケーション手段となっている。

 電子メールの特徴は、時間も空間も共有しないことだ。制約がないので便利だが、機能不全に陥っている。大量のメールが届くと、読むべき優先順位が分からなくなる。さらに、メールを読むだけでは議論の背景も分からない。

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