2016年の今、企業向けストレージ分野の製品/ベンダー選びがホットな話題となっている。

 ガートナーによる2016年2月の予測では、HDDとSSDを合わせたストレージの出荷容量は、2015年から2019年までリニアに伸び続ける。この一方で、企業向けの外付ストレージ製品の売上高は、大きな転換機を迎えている。売上高はこれまで20年近く伸び続けてきたが、いよいよ沈滞し始めた。

 データを格納する需要は安定しているが、企業向けストレージ製品の売上増にはつながっていない。これは大きな事件であり、こうしたストレージ市場の変化がストレージベンダーに大きな影響を及ぼしている。

 例えば、外資系のストレージベンダーは、売上高の停滞を受けた形で、買収や分社といった企業の根幹に関わる変化に見舞われている。こうなるとユーザーとしては、製品の将来に不安を抱いてしまう。

 日系ベンダーにも問題がある。最新の技術の変化に出遅れるケースが目立ち始めた。

 さらにこうした中で、ストレージ業界での歴史が浅い「新興ベンダー」が勢いを増している。

 これら外資系/日系/新興ベンダーの状況を踏まえつつ、これまでの常識や慣習をいったんリセットしてストレージを選んだほうがいいだろう。

SDSやオールフラッシュなどの新興テクノロジーが既存技術を代替

 企業向けストレージ製品の売上高が停滞した理由はいくつかあるが、中でも大きなものは、既存のストレージ製品やストレージ技術を代替する、新たなテクノロジーが登場してきたことだ。その新たなテクノロジーの一つが「クラウド」だ。企業の情報システムがクラウドに移行している中で、オンプレミスでストレージ製品を買う機会は明らかに減る方向となっている。

 大きな変化として、ストレージ製品の形態も変わった。新しい形態の一つは、ストレージ機能をソフトウエアで提供するSDS(ソフトウエアデファインドストレージ)だ。

 汎用のPCサーバーと組み合わせて使うSDSが、既存のストレージ製品を置き換えている。大規模な事例では、米Amazon.comや米Googleなどの大規模データセンターがSDSを使って自前でストレージを構築している。

 新しいシステム形態として、サーバー機とストレージ機器を一体化して構成済みとした統合システム(コンバージドシステム)も、既存のストレージの一部を置き換えている。主として仮想サーバーを動作させる基盤製品として使われ始めた。ストレージ・ソフトウエアと複数のサーバーに搭載したSSDやHDDをスケールアウト・ストレージとして用いるものは特に、ハイパーコンバージドインフラストラクチャーシステム(HCIS)と呼び、新たな市場を形成している。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。