業務部門が主体的にSaaSを導入するようになると、IT部門の目が届かないところで、社内、社外を含めて、データのやり取りが発生するようになる。

 いままでは、IT部門が標準化することで、バラバラなシステムをはびこらせないように抑制してきたが、ビジネスの売り上げを考えると、やはり、スピードに重点を置かざるを得ない。そうなると、顧客に一番近い業務部門が主体的にSaaSを導入したり、システム同士を連携したりする動きは止められない。

 しかし、これを放っておくと、業務部門が自由にシステム連携用の仕組みを導入してしまう。あちこちで、クラウドやオンプレミスを勝手につなぐ取り組みが乱発する。これは避ける必要がある。つまり、IT部門としては、なんらかのコントロールの仕組みが必要になっている。では、何を使って、コントロールすればいいのか。

アプリケーションをSOA化すれば問題は解決する

 ここで重要なキーワードになるのが、「API(アプリケーションプログラミングインタフェース)」だ。

 これまでは、個別に作り込んで、アプリケーション間で業務機能やデータを連携していた。その結果、アプリケーションが“スパゲッティ化”している。

 しかし、今後は、全社のアプリケーションに、データと業務機能にアクセスするための共通のインタフェース(API)を持たせるべきだ。このような形に、社内アプリケーション環境を変えていく必要がある。

 これは、「SOA(Service-Oriented Architecture)」に他ならないが、日本では、SOAでアプリケーションを作っている企業は、2割にも達していない。ほとんどの企業は、ファイル転送やバッチで、アプリケーション同士をつないでいる。

 素早くシステム間連携を実現したい。しかし、そのためにはアプリケーションを変えないといけない。これは、日本企業にとっては、大きなジレンマだ。

 SOAで全部のアプリケーションを再構築すれば、問題は解決する。しかし、これには時間もコストもかかる。では、どうするべきか?---日本の企業は、真剣に考えるべきだろう。

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