基幹システムを開発する際には、俊敏性(アジリティ)が重要となる。素早く短期に開発しなければならない。

 背景には、“デジタルビジネス”の台頭がある。基幹業務はデジタルビジネスの足を引っ張ってはならないし、基幹業務とテクノロジーを融合させた新しいビジネスの創造を求められている。

 既にグローバル市場のビジネスは、職人の時代から産業化(標準化、効率化)の時代を経て、デジタルビジネス時代の入り口にいる。日本は遅れており、まだ標準化や効率化に取り組んでいる段階だが、流れとしてはデジタルビジネスを迎えつつある。

 こうした変化の中、情報システム部門(IT部門)が持つべき意識として最も重要なのは、「業務部門と協業する」という姿勢だ。これまでは社内の他部門がIT部門のお客さんだったが、これからは対外ビジネスへの当事者意識が必要になる。社内の他部門はお客さんではなくパートナーなのだ。この意識変革がIT部門には絶対に必要だ。

 あるユーザー企業によると、数年前にIT部門内で「あなたたちのお客さんは誰ですか」と聞いたことがあり、当時の答えは「社内のユーザーです」というものだった。ところが、最近同じ質問をすると、ようやく「対外ビジネスのお客さんがIT部門である自分たちにとってもお客さんです」と言うようになったそうである。

変化を受け入れて短期に開発

 基幹系のアプリケーションは、ERP(統合業務)ソフトを適用すれば事足りる、変化の緩やかなアプリケーションだけではない。他社とのビジネス上の差別化を狙って独自に開発するアプリケーションのように、変化を受け入れて短期に開発したほうがよいものもある。

 変化のスピードに応じたペースレイヤー(記録システム、差別化システム、革新システム)の分類では、基幹系アプリケーションの一部は変化の少ない記録システムだが、一部は差別化システムだ。モード1(品質重視)とモード2(テクノロジーやスピード重視)の二つの流儀を使い分けるバイモーダルの観点では、記録システムはモード1だが、差別化システムはモード2になる。

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