ガートナーの「ITデマンド・リサーチ」では、アプリケーション開発の戦略について、ユーザーの意識を調査しその結果を2016年5月に公開した。その中で、QCD(品質、コスト、納期)について「今後もっとも重要視するもの」を一つだけ選んでもらったところ、興味深い結果となり、「ペース・レイヤー戦略」の重要性が浮き彫りとなった。
調査結果は、「品質(Q)」が31.2%、「コスト(C)」が26.8%、「納期・期間(D)」が4.0%で、第4の選択肢として用意した「アプリケーションの特性による」が38.0%を占めた。この結果はユーザーは、アプリケーションの特性によってアプローチを変えることの重要性を認識しているということだ。
アプリケーションの特性を明らかにするテクニックが、ペース・レイヤー戦略だ(図1)。ペース・レイヤーとは、アプリケーションの変更のペースに応じてアプリケーションを階層化する手法のことを指している。
システムには、ビジネスの土台となる部分と、競争優位となる部分がある。これらを明確に分けて認識することで、競争優位を機敏に実現したり、環境変化に機敏に対応できたりするようになる。これがペース・レイヤー戦略の意義だ。
変更頻度に応じて「記録」「差別化」「革新」の三つに分類
ペース・レイヤーでは、変更する頻度に応じてアプリケーションを「記録システム」「差別化システム」「革新システム」の3階層に分ける。それぞれは他社と同じ普通のアイデア、他社と異なるアイデア、全く新しいアイデアを実現するものとなる。