企業情報システムにおけるこの1年間の動向として、「デジタル」「顧客対応」「マーケティング」といった、これまでITシステムが扱ってこなかった、新しいアプリケーション分野への関心が急速に高まっている。この背景には、「アプリケーションがビジネスの成功を助ける」という考え方が大きくなった点がある。同時に、こうした新しいアプリケーションを情報システム部門(IT部門)と業務部門(マーケティング部門)のどちらが主導するのかという問題も顕在化している。

 これまで多くの企業は、マーケティングへの関心が低かった。理由の一つは、マーケティングを実行する組織が明確でないこと。マーケティングを効率化・自動化するためのアプリケーションは以前からあるが、国内では普及しているとはいえない。アプリケーションもまだ過渡期にあり、複数のツールを連携させてクロージング(成約)につなげるといった使い方は、まだハードルが高い。

 こうした状況が、若干変わりつつある。特に「マーケティングオートメーション」という言葉とともに注目度が高まっている技術に、B2B向けのリード(見込み客)管理がある。リード管理は、営業支援の延長線にあるため、マーケティング部門だけでなくIT部門とも親和性が高い()。ITの力で新規顧客を獲得したり、育成(製品に関する購買意欲を高めること)したりできる。

図●リード管理アプリケーションを使えば、ITの力で新規顧客を開拓・育成できる
図●リード管理アプリケーションを使えば、ITの力で新規顧客を開拓・育成できる
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 リード管理のアプリケーションで勢いがあるのは、米Marketo(マルケト)だ。Salesforceとの親和性などが評価されている。リード管理ではほかにも、Oracle Eloqua、Salesforce.comのPardot、IBM Silverpopといったソフトが目立つ。国産ベンダーも、シャノンやシナジーマーケティングなどが活躍している。

IT部門は新しいアプリケーションの導入に慎重

 マーケティングのような新しい戦略的なアプリケーション分野が注目を集めるにつれ、同時にこれらを企業内で誰が主導していくのか、という問題が顕在化している。IT部門には概して「既存システムを維持しなければならない」という制約を課されているので、新しい動きに追従することが難しい。

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