クラウド・コンピューティングは、「日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル」(技術やサービスに関する期待度と成熟度を表す曲線)では、現在、幻滅期*)に入っている(図)。
実際、2014年の国内向けの調査の結果では、「クラウド・コンピューティングを利用中である」という回答は、2013年から1ポイント低下し、12.4%となった。
幻滅期の中で、今、日本および世界で、いわば「都市伝説」と呼べるような誤解により、様々な失敗が起こっている。
クラウドと思って導入したら、実はクラウドではなかった
よくある失敗が、「クラウドであると思ったら、クラウドではなかった」というものだ。代表的な例としては、昔からのアウトソーシングや仮想ホスティングサービス、マネージドサービスとクラウドを混同するケースが挙げられる。
これらのサービスは、結局、個別対応でカスタマイズや手組みが必要になる。その結果、「コストが下がると思ったら、下がらなかった」「早く導入できると思っていたのにできなかった」という結果になる。こうした失敗が、多くの企業で見られる。これは、ガートナーとしては「非常に重要な問題」と思っている。
なんでもベンダーのせいにするのはやめよう
そもそも、アウトソーシングや仮想ホスティングサービス、マネージドサービスをクラウドと呼ぶことがおかしいのだが、こうした失敗を防ぐためには、ユーザー企業は、「そもそもクラウドとは何か?」に対する、できるだけ正しいであろう解を考える、あるいは、探し当てる努力をしたほうがよい。ベンダーの「クラウド」という言葉を真に受けて導入し、入れた後でベンダーのせいにするだけではダメだ。もっと賢くならないといけない。
一方、ベンダー側も、何でもクラウドと呼ぶのはやめるべきだ。クラウドと言えば、商売がスムーズに進む。これは、分からなくもないが、やり過ぎると誇大広告、下手すると詐欺になる。他の業界だったら、たぶんそうなっている。
クラウドが登場してから6年以上が経っている。にもかかわらず、いまだにこのような混乱が起こっている。なんでもクラウドと呼ぶような安直な振る舞いは、金輪際やめましょう、と言いたい。