飲食店運営者向けのITサービスを提供するトレタ。そのCTOを務めるのが増井 雄一郎氏だ。大学時代に起業した経験を持ち、オープンソース開発やWebアプリ開発などでも著名な増井氏に、現在気になっているテクノロジー、そしてB2Bビジネスにおける「技術」の役割を聞いた。

(聞き手は久保田浩=日経ソフトウエア


写真●トレタ CTO 増井雄一郎氏
写真●トレタ CTO 増井雄一郎氏
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今、どのようなテクノロジーが気になっていますか。

 WebRTCというWeb技術をトレタのビジネスに応用できないかと考えています。WebRTCはビデオチャットなどに使われている技術なのですが、それ以外の使いみちはないかと考えています。

 これまで、Webブラウザの通信はWebサーバーを介して行うという技術的な制約があったのですが、それを一気に変えるのがWebRTCです。WebRTCの特徴に、Webサーバーを介さずに通信ができて低レイテンシ(低遅延)である、という点があります。いわゆるP2Pです。これを使えないかと考えているのです。

 例えば、トレタは飲食店の運営者向けにアプリを作っているのですが、そのアプリとサポートセンターにいるサポート係のパソコンをつないで通信させることを考えています。そうすればビデオチャットだけでなく、サポートセンターがユーザー側のアプリの状態をリアルタイムで把握し、サポートに活用できます。ビデオチャットのようにアプリの画面情報も送れますが、そのアプリが裏側で行っている通信の状態も把握できるわけです。

 WebRTCのコンソーシアムでは、iOSやAndroid向けのSDKも配布しています。Webブラウザ以外でもWebRTCは使えるわけです。

顧客に見えるものではなく、裏側を支えるテクノロジーですね。

 サポートというのは、顧客に気づかれないという点も大事です。サポートのためになにかアプリケーションを入れなくてはならないとか、中継用のサーバーを用意しなくてはならないとか、そうしたコストや負担がかかることは歓迎されません。

ユーザーは気づかない点です。

 その「気づかない」は、ユーザーに負担をかけていないのだとも言えます。B2Bのビジネスでは「気づかれない」というのが一番いいと思っています。僕らのやっていることは、ある意味裏方です。まったく知らないうちにユーザーが使いこなせている、というのが一番いい姿です。お客様に負担をかけないでなおかつ新しい価値を届ける、という意味で、こうしたWeb技術は重要です。

そのほかに気になっているテクノロジーはありますか。

 Web技術は、今やWebブラウザのためだけのものではなくなっています。その現れの一つがチャットボットだと思っています。

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