設立からわずか3年後の2014年12月に東京証券取引所マザーズ市場に上場したクラウドワークス。代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の吉田浩一郎氏が同社を設立するまでの道のりは平たんではなかった。様々なビジネスに挑戦しては、失敗の繰り返し。自分がもらった「お歳暮」を見て事業がうまくいかない原因に気付き、退路を断って起死回生を果たした。
(聞き手は岡田 薫=日経コンピュータ)
クラウドソーシングに着目したきっかけを教えてください。
まず私自身の経歴をお話しします。もともと就職するつもりはありませんでした。大学時代は役者を目指していました。幼稚園のころにグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」を演じて先生に褒められたり、朗読コンクールで小学校の代表に選ばれたりして、小さい頃から演劇に興味を持っていたのです。
なので、大学を卒業したら役者として生計を立てていくつもりでした。ところが当時、半年ほど準備していた公演が契約ミスで中止になり、借金を200万円ほど背負ってしまったのです。
お金や契約について勉強しないと、自分のやりたいことができない。こう実感しました。そこで、丁稚奉公のつもりで就職することにしました。この頃は将来、お金や契約のルールにのっとった劇団を立ち上げようという考えを持っていました。