また「プレミアムフライデー」がやってきた。毎月最終金曜日の退社時刻を午後3時に繰り上げることを推奨し、消費喚起と働き方改革の両立を目指すというものだ。この「プレミアムフライデー」に、インフォテリアの平野洋一郎社長は真っ向から異議を唱える。反対の理由と、あるべき働き方の姿を聞いた。

(聞き手は玉置 亮太=日経コンピュータ


「プレミアムフライデー」をどう評価しますか。

 本当におかしな取り組みと感じている。最大の問題は「一律」であることだ。全国一律でみんなが同時に、金曜日の午後3時に仕事を切り上げることになっている。個々の自主性がない。

インフォテリアの平野洋一郎社長
インフォテリアの平野洋一郎社長
(写真提供:インフォテリア)
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 働き方改革の観点からすると、個々の事情や都合に応じた働き方ができるようにすべきだ。「最終金曜日だから」ではなく、子供が早く帰ってくる日が水曜日ならば水曜日でもいいはずだ。

 しかもプレミアムフライデーには「働く時間を短くすることで生活を豊かにしよう」といった発想がある。働かないのが豊かであることとイコールかというと、私は異論を唱えたい。議論のミスリードだ。

 ライフ・ワーク・バランスをゼロサムと誤解している人がけっこういるように感じる。ワークが減ってライフが増えれば人生が充実するのではなく、ワークが充実しているからこそライフも充実するはずだ。ワークがプアーであるなら、どんなに働く時間が短くてもライフは豊かにならない。ゼロサム的な、工場労働者的な議論を現代にしていることは本当におかしい。

 自分の都合で仕事を早めに終えるのなら、帰宅しようが買い物をしようがかまわないが、「言われたから金曜日に」とか「言われないと休めない」とかいった風潮や組織をこそ変えるべきだ。「みんなでやるから怖くない」といった意識は、本当に変えなければいけない。人に決められた日に早く帰ったって豊かになるはずがない。

 あえて肯定的にとらえるとすれば、日が高いうちに仕事を終えて早く帰る、オフィスから退出する体験ができることだろうか。現状は、こうした体験をしたことのない人がほとんどだろう。「自分は水曜日の午後3時に帰った方がいい」といった気付きは得られるかもしれない。

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