外出先から社内のPCへネット経由でアクセスできるリモートデスクトップ。ワークスタイル変革の1手段としてどのような活用方法があるのか。2012年から国内法人向けに、スマートデバイスから社内PCを利用できるサービスなどの提供を始め、約3年で導入企業が1300社に上ったスプラッシュトップ日本法人(東京・千代田)。日本法人の責任者を務めるジン・コウ取締役副社長と、水野良昭代表取締役に話を聞いた。

(聞き手は西村 崇=日経情報ストラテジー


リモートデスクトップを採用した企業は業務でどのように活用していますか。

写真●スプラッシュトップのジン・コウ取締役副社長(右)と水野良昭代表取締役
写真●スプラッシュトップのジン・コウ取締役副社長(右)と水野良昭代表取締役

コウ氏 当社が提供するオンプレミスサーバー版ソフト製品のSplashtop EnterpriseやクラウドサービスのSplashtop Businessは、金融、小売、サービスと様々な業種の企業で活用されています。その活用の仕方も多彩です。

 ある企業では営業担当者が社外からスマートデバイスを使って、社内のシステムにアクセスし、商品の発注に役立てています。

 その企業で特に効果が得られているのが週末です。ある営業担当者が週末に販売店を訪問したとき、自社商品が不足していることに気付きました。そこで担当者はすぐに社外から社内システムにアクセスして発注できたそうです。週末に社外から発注をかけるという、従来は難しかったことができるようになったことで、売り上げが向上する成果が得られています。

 別の製造業では、製品の設計情報の共有に利用しています。その現場では、製造に多くの関係者が関わるため、完成させる製品の情報を共有する必要がありました。そこでリモートデスクトップを使い、社内PC上でCADデータを表示させて完成イメージを共有しています。

 スマートデバイスにCADデータを取り込んで表示させると処理が重くなります。ですが、リモートデスクトップを使うと、手元のスマートデバイスには、CADデータを表示させた社内PCの画面が転送されるだけなので、CADデータをスムーズに表示することができるようになりました。

 リモートデスクトップは導入しやすいITだと思います。導入企業からよく聞くのが「ユーザー向けのトレーニングをせずに済むのがよい」という声です。リモートデスクトップでユーザーが使う画面は、これまで使い慣れている自身のPCや社内システムのものです。新しいITの導入でありがちな教育研修に手間をかけずに済むことが、リモートデスクトップのメリットといえます。

リモートデスクトップの活用形態はこのほかどのようなものがありますか。

水野氏 最近では、在宅勤務に活用するケースも出てきています。今後はBCP(事業継続計画)にも活用が広がりそうです。台風などの天候悪化や電車が止まって会社に出勤できないといったとき、自宅にとどまって、リモートデスクトップを使って仕事を進めるという利用です。

 もっともそれには、企業の社内規定を変える必要が出てくるでしょう。ですがLTEなど通信環境が整備されてきたこともあり、スマートデバイスから仕事を利用できる環境が整ってきたことで、BCP活用も容易になっていると思います。

 セキュリティ対策については、当社製品でユーザー認証やアクセス制御などの仕組みを提供しています。企業によっては、それにワンタイムパスワードを組み合わせたり、会社があらかじめ指定したデバイスからしかアクセスできないようにデバイス認証を加えたりして利用しています。

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