顧客との情報交換のため、このほど米CA TechnologiesのPhilip Walston氏(VP Product Management API Management)が来日した。エンタープライズ分野における、Web API開発の市場動向について聞いた。
エンタープライズ分野で最近、Web APIの開発が盛んになった背景には何があるのか。
大手企業を中心に、アプリケーションを通じて収益源を創出するアプリケーションエコノミーの成功例が増え、投資が膨らんでいる。その中心になっているのが、バックエンドとなる複数の既存システムを連携させるなどして利便性の高いAPI群を定義・開発し、モバイル端末などをターゲットにした新サービスからそのAPI群を利用する取り組みだ。これは、既存システムのアプリケーションやデータ資産を、変化の激しい市場のニーズに合わせて迅速に提供できる、有効性の高いアーキテクチャーであり、世界中でホットな動きを見せている。
API群を作って収益源を創出するビジネスモデルには、どのようなものがあるのか。
大きく、四つある。一つは、フリーミアムモデルと呼ばれ、アプリケーション開発者に対して魅力的なAPIを無償提供し、優れたアプリケーションが開発されることを期待するものだ。そのアプリケーションがユーザーに訴求することで、ブランド価値が上がったり、顧客のロイヤリティーが高まったりする。
二つ目は、APIの利用に対して課金するモデル。例えば、リアルタイムの株価情報など価値の高い情報の有償提供が該当する。一般に、このモデルでは1回当たりの課金額は低いが、それが積み重なることで大きな額になる。
三つ目は、報酬を払って他者に利用してもらい、自社のビジネスチャンスを広げるモデル。例えば、米Amazon.comなどECサイトで行われているアフィリエイトがそうだ。
そして最後は、間接的な利益を追求するモデル。例えば、オンラインバンキングアプリは、それ自体が利益を生むわけではない。しかし、ライバルよりもユーザーの利便性を高めることが、間接的に自社ビジネスの拡大に結び付く。