米Big Switch Networksは米国時間1月28日、OpenFlowベースのSDNソフトウエアの新版「Big Cloud Fabric リリース2.5(BCF 2.5)」を発表した。安価なベアメタルスイッチ上で稼働し、「リーフ(葉)/スパイン(幹)型アーキテクチャ」と呼ばれる2階層のデータセンターネットワークを構成する製品だ。新機能としてネットワークの分析機能「Fabric Analytics」を搭載した。同社CTO(最高技術責任者)のRob Sherwood氏に、新版の特徴と機能について話を聞いた。

(聞き手は羽野 三千世=日経コンピュータ


BCF 2.5が構成するリーフ/スパイン型アーキテクチャの特徴を教えてほしい。

写真●米Big Switch Networks CTOのRob Sherwood氏
写真●米Big Switch Networks CTOのRob Sherwood氏
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 従来の3階層(エッジ層/アグリゲーション層/コア層)型のデータセンターネットワークは、クライアント/サーバー間のトラフィック(South to North)に最適化されていた。しかしながら、実際のデータセンターネットワークにおいては、エッジ層のサーバー間のトラフィック(East to West)が多い。

 リーフ/スパイン型は、East to West方向のトラフィックに最適化されたアーキテクチャだ。従来のエッジ層を「リーフレイヤー」、その上位層(従来のアグリゲーション層)を「スパインレイヤー」とする2階層型のネットワーク構成をとる。

 リーフレイヤーのスイッチ(リーフスイッチ)は、スパインレイヤーのスイッチ(スパインスイッチ)に接続する。同一リーフスイッチにつながるサーバー間のやりとりはリーフ層で完結、別のリーフスイッチ下のサーバー同士でもリーフ層/スパイン層の二つのレイヤーを介して完結するため、トラフィックが高速化される。また、リーフ/スパイン型は、リーフスイッチとスパインスイッチの数を増やすことでスケールアウトできる特徴がある。

 BCF 2.5は、安価なベアメタルスイッチをハードウエアとして、リーフスイッチおよびスパインスイッチを構成するソフトウエアだ。BCF 2.5で構成するリーフスイッチ群/スパインスイッチ群は、全体として一つのスイッチとして動作する。

BCF 2.5で機能拡張したポイントは何か。

 BCF 2.5では「VMware vSphere」をサポートした。従来版からサポートしていた「Hyper-V」「KVM」「XenServer」にvSphereが加わり、これで主要ハイパーバイザー環境の全てに対応した。

 新しい分析機能「Fabric Analytics」も今回追加した。ネットワーク全体のデータをリアルタイムで可視化するほか、ログやネットワークファブリック全体の統計情報を処理し、分析チャートで表示する。

 また、BCF 2.5が稼働するハードウエアとして、40GbE×32ポートを搭載する、Dellのオープンネットワークスイッチ「S6000-ON」をサポートした。

OpenFlow/SDNの市場をどのように展望しているか。

 米Cisco Systemsが同社製スイッチと連携するUCSサーバーを投入したことで、IBM、Hewlett-Packard、Dellなどサーバーベンダーの離反を招いた。各社は、ネットワークベンダーを買収や、オープンネットワークスイッチの開発を進めている。当社もこの陣営の中で、OpenFlowベースのベアメタルSDNの市場拡大に努めている。。4年後には、誰もスイッチベンダーからスイッチを買わなくなるのではないか。