「世界主要都市の広帯域ネットワークサービスシェア1位」。Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長の日置健二氏は、こう目標を掲げる。同社は欧州地域を中心にデータセンターやネットワークサービスを提供する英Coltグループのアジア地域の事業会社で、Coltが2014年末に同業のKVHをM&A(合併・買収)して誕生した。欧州中心のColtとアジア中心のKVH、両社の強みを組み合わせて、目標達成を目指す。

(聞き手は井原 敏宏=日経クラウドファースト


ColtグループによるKVHの事業統合の狙いや効果は何か。

 KVHの事業統合によって、我々のサービスをより広範囲に提供できるようになる。ColtとKVHはどちらも投資信託会社の米フィデリティグループの子会社だ。主要サービスも法人向けのデータ通信、音声、データセンターと同じだが、事業を手掛ける地域はColtが欧州なのに対し、KVHが日本を中心としたアジア各国や米国と異なっていた。

Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長の日置健二氏
Coltテクノロジーサービス 代表取締役社長の日置健二氏
[画像のクリックで拡大表示]

 両社の事業は地理的に補完関係にある。国内企業にとっては欧州進出時にKVHが提供していたのと同じサービスを受けられる。逆もまたしかりだ。既に欧州企業が日本やアジアで同じサービスを求める案件が出ている。

 2016年末には両社で異なっていた案件処理などのシステムを統合した。サービスの名称も統一し、SLA(サービス品質契約)も両社でより厳しい内容に合わせている。

 アジア事業で見ると統合により投資額が大幅に増えた。具体的な金額は非公表だが、数千万円や数億円とは桁の違う規模だ。英本社はアジア市場を重視している。新たに敷設する光ファイバーなど、新規の投資案件はほとんどアジアが対象だ。

各事業の売上比率やシェアについて教えてほしい。

 アジアではデータセンター事業の売上比率が4割で、データ通信と音声を合わせたネットワーク事業が6割だ。グローバルではネットワーク事業の割合がさらに高く、アジアも今後同じ傾向になると見ている。

 シェアについてはIDC Japanが2016年3月に発表した調査結果で、2015年の国内イーサネット専用線サービス市場においてNTTコミュニケーションズ(46.1%)、KDDI(16.1%)に続いて3位(12.1%)に入っている。

 グローバルでは通信業界のマーケット調査や戦略コンサルティングを手掛けるVertical Systemsグループによる、2016年度上半期のGlobal Ethernet プロバイダー販売ランキング(販売ポート数ベース)で、昨年に続き2位にランクインしている。

御社の強みやシェア拡大に向けての戦略は。

 アジアや欧州の約50都市間で、自前のネットワーク回線を提供できるのが我々の強みだ。アジアでは東京、大阪、シンガポールに加え、香港でも自社ネットワークを提供していく。

 現地の通信事業者の回線を借りる必要がないため、価格を自分達でコントロールできる。トラブルや障害が起きた場合も我々がすぐに対処できるため、通信品質を安定させやすい。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。