Linuxだけでなく、ミドルウエアやクラウド関連のOSS(オープンソースソフトウエア)をサポート付きのサブスクリプションで提供する米レッドハット。サーバーOSの動向や次世代インフラとして注目されている「コンテナ」について、社長兼CEO(最高経営責任者)のジム・ホワイトハースト氏と アプリケーションプラットフォームビジネスグループ担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・ムジラ氏に聞いた。

(聞き手は中村建助=日経コンピュータ編集長、広田 望=日経コンピュータ


社長兼CEO(最高経営責任者)のジム・ホワイトハースト氏
社長兼CEO(最高経営責任者)のジム・ホワイトハースト氏
[画像のクリックで拡大表示]
アプリケーションプラットフォームビジネスグループ担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・ムジラ氏
アプリケーションプラットフォームビジネスグループ担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・ムジラ氏
[画像のクリックで拡大表示]

レッドハットは58四半期連続で増収と好調な業績だ。顧客に受け入れられている理由は何か。

ホワイトハースト氏 企業がOSS(オープンソースソフトウエア)を積極的に使うようになっているからだ。昔はOSSを、コストを抑える手段として捉える企業が少なくなかった。現在はコスト削減以上にイノベーションのためのツールとして認知されている。イノベーションを求める企業が増えてきたことで、顧客の裾野が広がっている。

 OSSの需要は新しいインフラに引っ張られている。企業が使うクラウドはOSSで構築されているし、アプリケーション開発にもOSSを使っている。新しいアプリ開発だけでなく、既存のアプリを新しいインフラに移行する目的でもOSSが使われている。

米国ではOSSが企業成長に必要だという共通認識があるのか。

ホワイトハースト氏 あると思っている。OSSの活用が進む背景には、ビッグデータがある。イノベーションにはデータが必要で、データの分析にOSSが使われている。オープンデータをOSSで分析して活用する企業からイノベーションが進んでいる。

 オープンデータを活用する企業が運用するシステムはOSSを組み込んでいる。システムの開発やデータ分析にもOSSのツールを使っている。ビッグデータの分析・活用の現場でOSSが活躍していて、ほとんどの企業がOSSを使っている。

ムジラ氏 1990年台のOSSは、既存の技術を複製したものだった。UNIXの複製としてLinuxが開発されたのが最たる例だ。ここ5~10年程のOSSは、複製ではなくオリジナルだ。全てと言ってもいいイノベーションがOSSで産まれている。

日本でもOSSが必要だという認識は広がっているのか。

ホワイトハースト氏 海外展開を進める大企業は十分に認識している。ITの活用が進んでいる市場では既にOSSの活用が進んでいる。地域に根づいた市場では、UNIXからLinuxへの移行が始まったばかりの企業が少なくない。

UNIXは消えていくのか。

ホワイトハースト氏 UNIXサーバーを作っていたいくつかの企業が、開発を止めている。UNIXは消えていく運命といって良いだろう。

ムジラ氏 UNIXを売っている企業はあるが、全て合わせてもマーケットシェアはかなり小さいと見ている。

ホワイトハースト氏 大手企業と話すと、UNIXのソースコードが既に無くなっていると聞く。UNIXで新しいアプリを開発している企業がほとんど無いので、UNIXサーバーは今後も減っていくだろう。

 サーバーが減ればチップも減る。チップを供給する企業にとって、UNIXのチップを供給し続けていくのは難しいだろう。特殊な既存アプリを運用する目的以外で、UNIXを選択する企業はほとんどいないと見ている。

 大規模にUNIXを使っていた通信事業者がLinuxへの移行を進めている。第5世代移動通信システム(5G)からは、ほとんどの通信事業者がLinuxでインフラを構築すると見ている。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。