このところ、シリコンバレーに拠点を設け、新しい技術やビジネスモデルを開発する現地企業との協業を図る日本企業が増えている。ホンダ(本田技研工業)のシリコンバレーにおけるラボ「Honda Silicon Valley Lab(HSVL)」は、現地企業との連携を目的に5年前に設置され、GoogleやAppleなどとの連携を積極的に進めてきた。同ラボの杉本氏に、最新の活動やシリコンバレーでの協業を成功させるためのコツを聞いた。

(聞き手は菊池 隆裕=日経BPイノベーションICT研究所)


ホンダのオープンイノベーション活動、特に杉本さんが所属される「Honda Silicon Valley Lab」の活動についてうかがいたいと思います。ホンダの研究開発拠点は国内にも数カ所ありますが、シリコンバレーのラボ(HSVL)とはどのようにすみ分けられているのでしょうか。

杉本:きれいにすみ分けができています。

 ホンダは、独創的な発想で新しいものを作ることを得意としています。日米欧に開発拠点があり、いわゆる自前研究で、これは引き続きやります。

Honda Silicon Valley Lab(HSVL) の杉本直樹氏
Honda Silicon Valley Lab(HSVL) の杉本直樹氏
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 ここHSVLの目的は、外の人たちのアイデアを取り込むことです。社内では思いつかないアイデアや技術、ビジネスモデルを外の組織に見つけて、その人たちと一緒に推進するのが我々の活動です。一言で言うとオープンイノベーションということになりますが、「社内でできることはやらない」が基本スタンスです。

自動車に関する領域はとても広いと思います。具体的には、どのような活動をされているのでしょうか。

杉本:外部の方に分かりやすいよう、4個のテーマを掲げています。

 1つが「つながる」。車載端末とスマートフォンを連携するプラットフォームとして、米Google社の「Android Auto」や、米Apple社の「CarPlay」といち早く連携しました。2015年に発売されたシビックやアコードには搭載されています。

 この領域では、こちらに拠点を持つDrivemodeと協業しています。スマートフォンを車内に持ち込んで、シンプルかつ安全にナビや情報提供をしてくれる利用シーンを拡大しようとしています。アジア諸国などの新興国では、カーナビを標準搭載するような高級車はなかなか買ってもらえません。そんな国では、クルマ自体はシンプルにして、スマートフォンとの連携がある方が逆に価値が上がります。クルマをシンプルにしていくというのは社内にはない方向性で、これはDrivemodeから学んだことでもあります。

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