花嫁わたは、ふとんのうち直し(リフォーム)を手掛ける企業で、東京都荒川区に本社を置く。ふとんのうち直しというと、「店舗裏の工場で細々」というイメージを抱きがちだが、実は同社の場合は全く異なる。同社は工場を持たない「ファブレス企業」で、業務は需要の掘り起こしと自社コールセンターを通じての受注に特化している。各地のふとん打ち直し工場10カ所と契約し、実際の作業を委託している。

事業を支えるトレーサビリティシステムを自社開発

花嫁わたの吉村祐介社長
花嫁わたの吉村祐介社長

 このビジネスを支えているのが、契約工場との受発注を管理するシステム。同社の吉村祐介社長が中心となって、データベースソフトのFileMaker Proをベースに自社で開発した。iPhoneを端末として利用して受発注・在庫管理ができるふとんトレーサビリティシステムだ。

 このシステムがあるから、正社員14人という少人数で契約工場とのやり取りを遂行し、顧客の掘り起こしにリソースを割くことができる。吉村社長は「当社は工場を持たず、営業や顧客対応、物流管理、業務サポートに特化している。受注は生協のチラシ掲載などがメーンで、Webサイトでも受け付けている。ふとんの一連の工程は、QRコードを利用したシステムでトレースしている」と説明する。

ふじみ野産業の鈴木幸平専務
ふじみ野産業の鈴木幸平専務

 実際に、同社の契約先の工場でふとんを打ち直しする様子を取材した。埼玉県ふじみ野市の住宅街にあるふじみ野産業では、ふとんのうち直し作業の真っ最中だった。同社専務の鈴木幸平氏に、工場を案内してもらった。

 ふとんの打ち直しと言っても、叩いて日干しすればいいというものではない。まず、届いたふとんをくるんでいる「ふとん皮」を切り、中の綿を出して洗浄する。長い間使用していたふとんは、綿が目減りしていることも多いので、継ぎ足すことも多い。同社では通常の綿、化学繊維、羽毛など様々な種類に対応している。一連の作業を経て復活した綿を、新しいふとん皮に詰め直して縫製、その後出荷するというプロセスをたどる。

 このふとんの入荷と出荷の際に、システムが活躍する。まず、顧客から注文が入ると、花嫁わたからふとんの回収セットを送付する。顧客は袋にふとんを入れて、伝票とQRコードの印刷されたシールを2か所張り付けて、直接提携工場に送付する。

ふじみ野産業での作業の様子。花嫁わたからの商品のバーコードを読み込んで、ふとんを打ち直す。中の綿を足すことも多いという。
ふじみ野産業での作業の様子。花嫁わたからの商品のバーコードを読み込んで、ふとんを打ち直す。中の綿を足すことも多いという。
ふじみ野産業での作業の様子。花嫁わたからの商品のバーコードを読み込んで、ふとんを打ち直す。中の綿を足すことも多いという。

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