資生堂以外の新しいお客様との出会いにつながっている

 これらの応対アプリケーションは、当初の狙い通り、顧客サービスの向上に大きく貢献している。2014年4月に実施したビューティーコンサルタントに対するアンケート(回答数5068人)でも、「お客さまとのコミュニケーションは高まったと思いますか」という質問に対して、76%が「感じる」または「やや感じる」と答えており、「お客さまの納得度は高まったと思いますか」という質問には、83%が「感じる」または「やや感じる」と答えた。「導入後、お客さまの応対満足度が高まっていると感じますか」という質問にも、66%が「感じる」または「やや感じる」と回答した。

 「メーキャップシミュレーターなどの応対アプリケーションのおかげで、お客様に声をかけやすくなり、資生堂以外の新しいお客様との出会いにつながっている」と、伊藤氏はその成果を語る。「今後は、さらに楽しく分かりやすいカウンセリングができるように、アプリケーションの中身をバージョンアップしていきたい」(同)。

米モバイルアイアンのSaaS型MDMを導入

 ビューティー・タブレットのハードウエアとしては、Androidタブレット、Windowsタブレット、iPadの3つを候補として検討し、最終的にiPadを選択した。「Androidはバージョンが多くメンテナンスが大変そうだったし、Windowsは、検討当時は製品があまりなかったため、消去法で、iPadしか残らなかった」(毛戸氏)。

 iPadは、KDDIから購入した。導入したモデルは、LTEが利用できるWi-Fi+Cellularモデルだ。iPadのヘルプデスクも、KDDIが開設している。通信事業者としてKDDIを選んだ理由は、「他社と比べて、通信のカバー範囲とつながりやすさが優れていたため」(毛戸氏)。iPadのセキュリティ対策としては、米モバイルアイアンのSaaS型MDM(モバイルデバイス管理)を導入している。

 ビューティー・タブレットを利用するビューティーコンサルタントは1万1000人と非常に多いため、導入研修は2段階に分けて実施した。まず、2013年4月1日から23日にかけて、11の事業所で全国キーマン研修を実施(対象者は458人)。その後、この研修を受けた人が、各事業所で研修内容をビューティーコンサルタントに伝えていった。

 毛戸氏は、「今後は、ビューティー・タブレットに汎用アプリケーションを積極的に取り入れていきたい」と語る。例えば、日本語で話すと中国語などに翻訳してくれる翻訳アプリケーションやテレビ会議システムなどだ。海外の顧客も多いため、「特に翻訳アプリケーションはビューティーコンサルタントからの要請が多い」(伊藤氏)という。

プロフィール
本店所在地:東京都中央区銀座7-5-5
本社事務所:東京都港区東新橋1-6-2
創業:1872年
設立:1927年
資本金: 645億円
従業員数:3万3054人(2014年3月31日)
連結売上高:7620億円(2014年3月期)
事業内容:化粧品、美容食品、医薬品の製造・販売、レストランなど