ポイント
課題:システムごとにL2スイッチを収容していたため、台数が増えてネットワーク運用が煩雑になっていた
解決:SDNを活用したネットワーク基盤を導入した
効果:ネットワーク運用の作業時間を約30%減らせた
挑戦:オムニチャネルを強化する新システムの迅速投入を可能に

 愛媛銀行は2015年2月に勘定系などを含む全システムのネットワーク基盤を刷新した。SDN(ソフトウエア・デファインド・ネットワーキング)を全面導入。金融機関では初となる取り組みだ(下図)。

愛媛銀行が実施したネットワーク基盤の刷新
愛媛銀行が実施したネットワーク基盤の刷新。SDN導入でレイヤー2スイッチ128台をゼロにした
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 ネットワーク障害を未然に防ぐための運用業務を効率化する。既存のネットワーク基盤は、100台以上のレイヤー2(L2)スイッチで構成されており、運用管理に手間がかかっていた。問題解決の手段として同行はSDNを選択。ネットワーク運用業務を約30%効率化できるという。将来は、オムニチャネル戦略向け新システムをネットワークに接続する際の工数も減らせると期待する。

 SDNを活用した新ネットワーク基盤には、勘定系システムや情報系サーバーに加え、行内の内線電話や電子マニュアルなど、約60ある個別システムを接続する。2016年1月には、次期勘定系システムを接続する予定だ。

100台以上のスイッチ運用が負荷

 「従来のネットワーク基盤では、L2スイッチが128台もあったために構成が複雑化していた」。愛媛銀行 事務部の酒井良平 次長兼電算センターグループ長はそう語る(下図)。

移行前のネットワーク基盤
移行前のネットワーク基盤

 L2スイッチが増えたのは、新システム増設のたびに追加してきたためだ。L2スイッチは各システムのサーバーをラックごとに収容する。「冗長化も考慮するとL2スイッチの増設はやむを得なかった」(酒井次長)。

 特に問題だったのは障害を未然に防ぐためのトラフィック調査だ。愛媛銀行は、トラフィック量が異常に増加した場合、その原因を調査してサービスの停止を防ぐ。

 「金融機関は顧客の生活を支えるインフラ。トラフィックの異常な挙動を見逃さないように、24時間体制でオペレーターがネットワークを監視している」と酒井次長はトラフィック調査の重要性を強調する。

 ただし、従来型の調査方法は、個々のスイッチからトラフィック量などのログを取得し、データをExcelで加工して分析するという手間のかかるものだった。「100台以上もあるスイッチの設定を、一つひとつ確かめるのが大変だった」と酒井次長は話す。

 この問題を解決する手段として選んだ方法がSDNだ。

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