北海道北見市にある北見赤十字病院。"北見日赤病院"と呼ばれて地域の人たちから親しまれる同病院は、道東地区屈指の総合病院だ。病床数は559床。救急救命センターを持ち、地域医療支援病院にも指定されている。同病院は2014年12月1日に地下1階地上9階建ての新本館を新築し、病院機能を移転した。それに合わせてタブレット画像参照システムが導入された。その背景とメリットを探る。

 「骨折したところはボルトを入れて固定しました。継ぎ目はしっかりとつないであります。分かりますか、この部分ですよ」。医師がベッドサイドで患者に手術の内容を説明している。手にしてるのは、タブレット(iPad Air)。画面にはレントゲン写真が映っている。医師は患者に見てもらいたい部分を指で拡大する。どこを指示しているかがすぐに分かるので、理解も早い。患者はうなずきながら説明を聞いている。

 この「タブレット画像参照システム」を導入したのは、北海道北見市にある北見赤十字病院だ。メインシステムである医療用画像情報システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)から、画像をバックアップ用のシステムに転送し、それを参照している。厳密な診断に使えるほどの高画質ではないが、PACSと同じ画像をタブレットで手軽に見ることができるのは大きな利点。もちろん、患者への説明には全く十分な画質だ。

 現在は病棟ごとに1台のタブレットを医師たちで共用している。PACSのバックアップシステムとしての役割とともに、タブレットらしい機動性を持った、使いやすい画像ビューワーシステムとして活用されている。なぜこのシステムが誕生したのだろうか。

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写真1●タブレットでレントゲン写真を見せながら、患者に説明できる「タブレット画像参照システム」。手元で画像の検索(左上)、表示(右上)、拡大(左下)などが自在にできる。ベッドサイドでの説明も可能になる(右下)など利便性が大幅に上がった
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写真1●タブレットでレントゲン写真を見せながら、患者に説明できる「タブレット画像参照システム」。手元で画像の検索(左上)、表示(右上)、拡大(左下)などが自在にできる。ベッドサイドでの説明も可能になる(右下)など利便性が大幅に上がった
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写真1●タブレットでレントゲン写真を見せながら、患者に説明できる「タブレット画像参照システム」。手元で画像の検索(左上)、表示(右上)、拡大(左下)などが自在にできる。ベッドサイドでの説明も可能になる(右下)など利便性が大幅に上がった