Mac miniサーバーに保存した画像をiPadで検索する

 実際のシステムの開発を開始したのは、移転の約1年前。システム構成としては、DICOMサーバーにMac miniを採用し、そこに画像を保存して、iPadにインストールされたOsiriX HDベースのアプリケーションから検索する仕組みにした。元の画像はPACSからリアルタイムに転送され、約半年分を保存する。Mac miniは冗長化のために2台構成とした。

 「アプリケーションの基本的な構造はPACSと同じ。放射線情報システムから患者情報を取り込んで、PACSから転送した画像情報と関連付けて表示している。工夫したのは、検索のしやすさだ。DICOMはローマ字が基本だが、このシステムではユーザーインタフェースを日本語化して見やすくした」と中島氏。

 検索機能もOsiriX HDと組み合わせ新規に作成したプログラムにより大幅に強化した。診療科名や病棟名、担当医師名、日付、外来患者と入院患者の別、撮影した医用画像機器の種類などの項目から検索できる。中島氏は「検索機能が使いにくいと利用効率も悪く、結局使われなくなる。これまでのシステム開発で培ったノウハウを活かすことができた」と語る。開発は紙ベースで画面イメージを固めて、プロトタイプを作りながら進めていった。

 また、画像データが1枚当たり8MB程度と大きいために、通信環境についても入念に動作確認を行った。今回のシステムは院内での使用に限定された院内Wi-Fiを利用する。医療情報管理課情報システム係長の河野洋樹氏は「院内Wi-Fiは電子カルテシステムも相乗りする形だが、ストレスなく使えることが分かった」とレスポンス面での不安も事前に解消できたと語る。

図1●画像検索プログラムを新規作成することで、検索機能を強化した(左)。見たい画像を選択して画像データをダウンロードする(右)
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図1●画像検索プログラムを新規作成することで、検索機能を強化した(左)。見たい画像を選択して画像データをダウンロードする(右)
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図1●画像検索プログラムを新規作成することで、検索機能を強化した(左)。見たい画像を選択して画像データをダウンロードする(右)
図2●既設の医療画像情報システム(PACS)から専用サーバーに画像を転送・蓄積。院内Wi-Fiを経由してタブレットで確認できるようにした。非常時にはPACSのバックアップとしても利用を想定
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図2●既設の医療画像情報システム(PACS)から専用サーバーに画像を転送・蓄積。院内Wi-Fiを経由してタブレットで確認できるようにした。非常時にはPACSのバックアップとしても利用を想定