アクセスは富士通のデータセンター経由で

 2014年11月、広島大学病院は入札を実施し、KDDIが落札した。下図は、広島大学病院が今回導入した電子カルテ閲覧用タブレットに関連するシステムの全体像である。KDDIからは、約100台のiPad miniと端末の設定やヘルプデスクなどのサポートサービス、セキュリティ管理に必要なMDM機能などを導入した。iPadで電子カルテの情報を安全に取得するための仕組みは、同院の電子カルテシステムの提供元である富士通が構築した。

図●広島大学病院が2014年12月に稼働させた、iPadによる電子カルテ閲覧システムの概要(富士通「PocketChart」資料より抜粋、編集)
図●広島大学病院が2014年12月に稼働させた、iPadによる電子カルテ閲覧システムの概要(富士通「PocketChart」資料より抜粋、編集)
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 広島大学病院の電子カルテサーバーは病院の敷地内にある。外部から電子カルテサーバーの情報を取得するため、インターネットと院内ネットワークの間に設けたDMZ(ファイアウォールで囲まれた非武装地帯)に参照用のサーバーを設置し、院内の電子カルテサーバーに直接アクセスさせないようにした。iPadからのアクセスに際しては、VPN接続や暗号化といったセキュリティ対策を施してある。

iPadで電子カルテにアクセスする仕組みは、富士通が提供するサービス「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE PocketChart」を利用した。iPadからのリクエストは、富士通のデータセンターのサーバーを経由して、広島大学病院の参照用サーバーに入ってくる。データセンターと広島大学病院の間はVPNネットワークで接続している。