――ある週末の深夜。自宅でくつろいでいた放射線科医の携帯が突然鳴った。病院からだ。
「先生、お休みのところすみません。消化器内科の○○です。●●さんの意識がなくなり、頭部CTを撮ったのですが、どうも所見がはっきりしないので見てもらえますか?」
「●●さんね…(タブレットを起動して)ああ、これはくも膜下出血だよ」
「分かりました。すぐ脳外科の先生に連絡します!」

 病床数746、中国・四国地方で唯一の小児がん拠点病院であり、ドクターヘリも運航するなど、同地方の中核病院である広島大学病院。その病棟で最近、このような「コンサルト」の場面がしばしば見られるようになった。放射線科医が手にしていたのは、院外でも電子カルテを閲覧できるよう配布されたiPad miniである。

 コンサルトとは、医師が患者の病状について診断を下す際、不明な点について専門医や上級医師にも判断を仰ぐことを言い、病院では昔から当たり前のように行われている。専門の医師やベテランの医師に見立ててもらうことで、診断や治療の確度が上がり、担当医の学びにもつながる。医師にiPadを配布する病院も最近では珍しくなくなってきている。だが、院外にいる専門医がiPadで電子カルテの画像を見ながら、コンサルトに応じるという病院はまだそれほど多くない。

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写真●広島大学病院が導入した電子カルテ閲覧用iPadの画面例。検査値や画像、看護記録など、外来にある電子カルテ端末と同じものが見られる。