企業におけるデータ活用の機運が盛り上がるなか、「QlikViewクリックビュー」「Tableauタブロー」「Power BI」という新世代のBI(Business Intelligence)ツールが注目を集めている。処理が速い、ITエンジニアによる運用の手間が小さい――という特徴は、どのように実現しているのか。分析画面の操作性とともに紹介する。

 「利用者が切り口を変えながらデータを分析する、『データ発見型』のBIツールが台頭している」。葡Gartner Portugalのジョアン・タパディニャス氏(ビジネスアナリティクス リサーチディレクター)はこう明言する。

 特にシェアを伸ばしているのが、米QlikTechの「QlikView」、米Tableau Softwareの「Tableau」、米Microsoftの「Power BI for Office 365(Power BI)」の3製品だ。最大の特徴は処理が速いこと。利用者が分析の切り口を変えると、秒単位の時間で応答してグラフなどを表示する(図1)。

図1●新世代BIツールはエンジニアの作業を大幅に減らす
図1●新世代BIツールはエンジニアの作業を大幅に減らす
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 運用が楽なのも大きな特徴だ。従来型のBIツールでは、速度を高めるため、曜日別、地域別、利益率、リピート購買率といった分析の「軸」に応じて、データをツール内で加工したり集計したりしておく必要があった。そのため分析の軸を追加するには、その都度、エンジニアが加工・集計の設定をしなければならない。新世代BIツールは、その設定作業を大幅に軽減したという。

 「速い」「運用が楽」の秘密は、クライアントPC上のインメモリーDBである。3製品とも共通して備える。

 ハードディスクにアクセスしないことで、集計処理の速度は格段に向上する。実メモリー容量を超えるビッグデータの集計もインメモリーで可能だ。例えばTableauのデータベースエンジン「Tableau Data Engine」は、データを列ごとに取り込み、4分の1~40分の1のサイズに圧縮する(図2)。16Gバイトのメモリーがあれば、数十Gバイトのデータを取り扱えるという。

図2●新世代BIツールにおけるインメモリーDBの機構(Tableauの例)
図2●新世代BIツールにおけるインメモリーDBの機構(Tableauの例)

 こうして集計処理を格段に速めたことで、切り口を変えるたび一から集計しても十分に実用的になった。それゆえ、BIツール内でデータを加工したり集計したりしておく必要がなくなり、そのための運用作業も不要になった。

 なお非力なクライアントでも使えるように、QlikViewとPower BIはサーバーで集計作業を行う構成も取れる(別掲記事)。

 以降ではツール別に、分析画面の操作性や内部の仕組みを見ていこう。

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