前回の記事では、BtoB企業がなぜコンテンツマーケティングを活用して見込み顧客の育成・獲得を行っているのか、以下3点の理由について述べました。

1.顧客である企業の課題解決手段・購買プロセスの複雑化・多様化
2.主要情報源であるインターネットにおけるGoogleの変化
3.トレンドとなっているマーケティングオートメーション

 ではコンテンツマーケティングを活用している企業は、具体的に何を目標としてどのような取り組みをしているのでしょうか。BtoB企業が取り組む実際のコンテンツマーケティングの施策から成果を上げたケースをいくつかご紹介します。

 米国コンテンツマーケティング協会(Content Marketing Institute:CMI)が発表した「2015年のB2B コンテンツマーケティングの予算、ベンチマーク、トレンド、北米編(2015 B2B Content Marketing Benchmarks, Budgets and Trends - North America by Content Marketing Institute and MarketingProfs)」によると、2014年、B2Bマーケターの38%がコンテンツマーケティングを「効果あり」と評価しています。一方、42%が「普通」、19%が「効果がない」と評価していますが、コンテンツマーケティングは長期的視点でしっかり取り組むことで初めて効果が現れるため、長く取り組みを続けることでこれらの評価も変わってくるものと考えられます。

 ここで押さえておきたいのは、何をもって「効果がある」と評価するかという点です。B2Bマーケティングにおいて「最終的に計測すべき指標(Key Goal Indicator:KGI)」は売上と利益に結びつく見込み案件(セールスリード)数です。コンテンツマーケティングにおいても基本的に考え方は変わりません。上記調査でも49%は「セールスリードの質」を、48%は「コンバージョン率」を、43%が「セールス(営業成果)」を、40%は「セールスリードの量」を効果の指標としてチェックしています。ただし、コンテンツマーケティングの戦略にもよりますが、短期的・中期的に成果を図っていく指標としては施策ごとにKGIの手前に位置づけられる「Key Performance Indicators(KPI)」(例えばHTMLメールであれば開封率やクリック率など)を設定し、改善を図っていくことも重要になるでしょう。

 では、コンテンツマーケティングに成功している企業はどのような指標を設定し、どのようにそれらの指標を達成しているのでしょうか。事例をいくつか紹介します。 

事例1:外資系企業A社

 ある分野で世界トップクラス企業であるA社のマーケティング担当者は、社内の反対を押し切ってあるコンテンツマーケティングを実践しました。A社が取り組んだこと、それは外部競合企業のコンテンツ利用です。担当者は自社の記事コンテンツに、競合企業のホワイトペーパーへのリンクを設置するテストを試みました。来訪者が求める情報がそこにあると考えたためです。
 当然社内の反対にあうことになり、コンテンツをすぐに削除して欲しいという声が社内から複数起こりました。しかし、担当者は詳細な効果検証を約束し、この取り組みをテストケースとして実施することを社内に許諾させました。
 結果として、競合企業へのリンクを設定した記事は通常の2倍近い2,000PVを獲得し、内200人の来訪者がソリューションを探すためA社サイト内の他のページを見ていたことがわかりました。それらの数値は彼らが設定しているKPIの2倍になりました。

 コンテンツマーケティングでよく言われるポイントの一つに「ユーザー目線」でのコンテンツ・シナリオ提供が挙げられます。A社は、ユーザーが求める情報を提供するために競合他社へのリンクを設定し、KPIとして設定した特定コンテンツのPV数を倍増させることに成功したのです。自社のポジションとユーザーニーズをきちんと捉えることで成果を挙げた事例と言えます。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。