コストの削減と業務効率化が、ほとんどの企業にとって大きな課題であることは間違いありません。仕事が増えている企業でも、忙しいだけで、気が付いたら利益が出ていないということがしばしばあります。コスト削減は原価を減らすことを意味していますが、その大きな目的は利益を上げることです。コストを減らして利益を上げる、コストを下げて価格競争力を高める、いずれも利益を向上させることが本来の目的です。

 「どこに問題があるか」の見える化をしなければ、企業の体力は向上しませんし、成長もしません。どのような課題があり、どのように解決したらよいか。そしてどんなツールが役立つのか。順に考えてみましょう。

1.経営上の課題

 最近、「仕事量は増えてきているが、コストダウン要請、仕入資材の高騰等で利益は減少している」「無理に受注すれば利益が出ないばかりか、過剰労働になってしまう」といった声が中小企業の経営者から聞こえて来ます。儲かる仕事だけを増やしたいというのが、共通する思いでしょう。

 利益管理は、利益の出る製品の売り上げを増やしたり、原価に見合う利益の管理をしたりすることが大切。製品ごとの原価、注文ごとの原価、顧客ごとの原価を算出することで、製品別収益、顧客別収益が把握できるようになります。これらの情報は経営戦略を立てるのに重要です。特に顧客別収益の情報は、有効な顧客戦略を立案するのに欠かせません。

 利益率の高い得意先や製品をデータによって見える化している企業は、残念ながらほとんどないというのが実態でしょう。脱下請け、単なる受身の受注形態からの脱皮を目指すなら、まずここから着手し、システム化を進めるべきです。得意先の業績推移を見ながら、営業戦略を決めることができるようになります。利益率の高い製品の受注増や、新規得意先の開拓にもつながります。

 このようにコスト削減は、単なる「守り」のための施策ではなく、「攻め」に欠かすことができない活動です。データ収集から処理、報告、改善の全ての段階でITツールを効果的に使うことが、コスト削減の大きな成功要因となります。

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