都内に2店舗を持つ高級志向のハンバーガーチェーン「the 3rd Burger」は、利用者がレジに並んだり財布を取り出したりすることなく、注文から調理品の受け取りまでが可能な接客運用システムを実現した。同チェーンを運営するユナイテッド&コレクティブの渡邉烈任マーケティングコミュニケーション部長は「快適でスマートな接客ができるようになり、リピーターを増やす効果が表れ始めている」と話す。

すべての手続きがスマホだけで完結

 このシステムの特徴は、すべての手続きがスマホだけで完結するところにある(図1)。利用者のスマホに専用アプリでメニューを表示し、来店前に商品を注文してもらう。店舗では注文の調理ができたら利用者に通知を送る。利用者が来店したら、本人確認をして注文の商品を渡す。本人性は、注文コードや内容を表示したアプリ画面を提示してもらうことで確認できる。またアプリにはクレジットカード番号を登録しており、注文と商品の受け渡しで決済が済む。

図1●スマホを活用して「並ばず、財布いらず」を実現した飲食店舗
図1●スマホを活用して「並ばず、財布いらず」を実現した飲食店舗
ハンバーガーチェーン「the 3rd Burger」が一部店舗で始めた。専用アプリとクラウド型システムを使い、商品の注文から出来上がりの通知、調理品の受け取り、クーポン取得までを、スマホで完結する仕組みとして実現した。アプリやクラウドシステムはShowcase Gigの「O:der」を採用した。the 3rd Burgerも開発に協力している。
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 リピーターを増やす仕組みもより「スマート」に進化させる。専用の送信機から近距離のスマホに信号を送るビーコン技術を使って利用客を把握し、アプリ上で来店回数を表すスタンプを発行する仕組みを近く導入する。こうすることで次回の来店を促し、注文から接客、リピートの促進までをスマホで完結できる。日本の新興IT企業であるShowcase Gigがアプリを含むシステム「O:der」を開発した。

 ユナイテッド&コレクティブのように、O2Oに注力し始めた企業が相次ぎ登場している。スマホの普及を背景に、ネットから実店舗へと利用者を誘導する。その鍵を握るのはスマホ決済システムとビーコンだ。

 ここではまず、最新のスマホ決済サービスやビーコンの導入によって効果が出ているO2Oの事例と導入ポイントを紹介する。

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