Part2では「インターネットからアクセスできる公開サーバーの領域」と「社内向けサーバーの領域」、両方をAWS上に設置するときのポイントを見ていこう。

 図2-1の(A)から(H)の手順を踏むと、企業で公開サーバーを置くDMZや、業務サーバーを置いた社内LANのような領域を構築できる。このように、Part1に比べて複雑なネットワークを構築する際に重要なAWSの機能が「VPC」である。Part2では、このVPCに注目していこう。

図2-1●AWSのネットワークの中核機能「VPC」で仮想ネットワークを作れる
図2-1●AWSのネットワークの中核機能「VPC」で仮想ネットワークを作れる
VPCという機能で、AWS内に独立した仮想ネットワーク領域を作れる。VPC内をサブネットで区切ったり、インターネットVPNで外部の拠点と接続したりすることも可能だ。
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VPC内にサブネットを作成

 VPCは、AWS上に独立した仮想ネットワーク領域を作成できる機能。「VPC Dashboard(ダッシュボード)」という操作画面では、VPCの関連機能が一覧できる。任意のプライベートIPアドレスの割り当て、サブネットの作成、ルーティングの設定、インターネット接続の設定など、従来の物理ネットワークで実施する様々な設定をWebブラウザーから実施できる(図2-2の(A))。

図2-2●新しくVPCを作成し、その中にサブネットを設ける
図2-2●新しくVPCを作成し、その中にサブネットを設ける
AWS内には、最大で「/16」のIPアドレスを割り当てた仮想ネットワーク領域「VPC」を作れる。VPC内にはユーザーには見えないルーティング機能があり、VPC内のサブネット同士は、即座に通信できる。
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 VPCを利用する際は、画面左側にある「Your VPCs」を押し、画面上部の「Create(クリエイト) VPC」ボタンから操作を進める(同(1)(2))。

 新規に作成したVPCには、企業ネットワークのLANと同様にプライベートIPアドレスを割り当てる。1つのVPCには最大で「/16」、つまり6万5534個のIPアドレスを割り当てられる。

 最初にVPCに割り当てるIPアドレスのサイズは、後から変更できない。足りなくならないように、多めに割り当てたほうがよい。ここでは最大サイズの「192.168.0.0/16」を割り当てた(同(3)(4))。

 続いてVPC内に、公開用と社内用のサブネットを作る。図2-2の(5)と(6)のように操作を進めればよい。サブネットには、VPCに割り当てたプライベートIPアドレスの中から、VPCより小さい範囲を指定する。公開用サブネットに「192.168.1.0/24」、社内用サブネットに「192.168.2.0./24」と、それぞれ256個分のIPアドレスを割り当てた(同(7)(8))。こうしたIPアドレス割り当ては、従来の企業LANとあまり変わらない。

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