「仮想デスクトップサービス(DaaS)」が活気づいている。アマゾンの本格参入で競争に拍車がかかった。仮想的な“PC”を入手するまで、注文からわずか20分。数日を要する従来のDaaSと次元の異なる手軽さは、PCの利用方法を大きく変える可能性を秘めている。DaaSの最前線を追った。

 仮想デスクトップサービス(DaaS)の大型新人がデビューした。米アマゾン・ウェブ・サービスが2014年3月に一般公開した「Amazon WorkSpaces」だ。この新人の非凡なところは、顧客の注文に応えるスピードが速く、利用条件もシンプル、そうした手軽さにある。

 「専用ポータルから必要な項目をクリックしていけば、20分程度で仮想デスクトップが手に入る」(アマゾン データ サービス ジャパン 技術本部長の玉川憲氏)。月額50ドルの「Standard Plus」プランには、WebブラウザーやMicrosoft Officeなどが入っているので、入手後「すぐに業務に取り掛かれる」。必要な時に、1台から、必要な期間だけ使える手軽さは、多様化してきたPC利用のニーズを満たせる。例えば、「数カ月のプロジェクト期間中だけPCが必要」「契約社員の増減に合わせてPCの数を変更したい」「開発のピーク時にPCを追加したい」といった要望に応えやすい。

 月額課金のDaaSは従来からある。ただ、多くのサービスは初期費用が必要で、顧客の要望を聞いて組み上げる“プライベートDaaS”だ。そのため、「500ユーザー以上」「契約期間3年」「追加は10ユーザー単位」といった様々な利用条件が付く。数十分といった短時間ではとても“納品”できない。

 Amazon WorkSpacesは、従来のDaaSとは一線を画する“パブリックDaaS”と言える。IDC Japan シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「仮想デスクトップは、オンプレミスから“プライベートDaaS”を経て、“パブリックDaaS”へ進んできた。パブリックDaaSがどれくらい伸びるかで、市場全体が大きく変わってくる」と話す。アマゾン参入で、DaaS選択の考え方は大きく変わる。

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