私たちの生活はソーシャル、モバイル、ビッグデータ、クラウドなどのデジタルテクノロジーの普及により劇的に変化しています。その変化はBtoCはもちろん、BtoBビジネスにも大きな影響を与えています。
元来、BtoBビジネスにおいては、営業担当者を通じての購買活動が主流でした。顧客が展示会、セミナーなどのイベント、あるいはカタログで情報を収集し、商材を取り扱う企業へ問い合わせをするというのを前提とした活動だったといえます。BtoB商材の構成、仕様、価格、納期といった購買意思決定に必要な情報の多くは、取引関係企業間に閉じ、直接問い合わせをしなければわからなかったからです。営業が来社すると名刺交換から始まり、会社紹介、商材紹介、要件擦り合わせ、情報提供依頼、見積もり依頼を実施します。複数社から見積もりが出そろうと、見積もり比較を実施して、所属部課、部門、役員単位での審議を経て、発注先を決定していました。
デジタル化が進むBtoBの購買活動
しかし、BtoBの購買活動にもデジタルシフトが起きています。私たちが何かを調べるときにGoogleやYahoo!などの検索エンジンを利用するように、現在、大半のBtoB顧客は必要商材の事前調査をオンラインで始めているのです。(*1)
この背景には、BtoBのビジネスにおいても、購買意思決定に必要な情報がデジタル化されてきた事があります。
例えば、電子回路部品の販売を行うDigi-key corporationでは、商材の構成、仕様、価格、納期といった情報だけでなく、回路設計を効率化するリファレンスデザイン集や回路設計シミュレータの提供も行っています(*2)。自動機部品の開発、販売を行うミスミでは、技術者向けの事例ライブラリーを提供し、現場で直面する「コストダウン」「計量化」等のテーマにあわせてリファレンスデザイン、CADデータ、パーツリスト(構成、仕様、価格、納期情報を内包している)の提供も行っています(*3)。
これらの企業では、これまで技術営業が対面実施してきた要件の擦り合わせ、情報提供といったサービスをデジタル化しているのです。さらに、AmazonSupplyでは200万点以上の品種から、ネジやワッシャーといった部品、アルミや銅といった部材を検索できますし (*4)、Octopartでは複数の供給元の在庫状況、価格を比較して調達することが可能です(*5)。
このようにデジタル化を先行した BtoBビジネスは急速な利用者の拡大を実感しています。実に、BtoB顧客の45%がAmazonSupplyを利用し購買を実施したという調査結果もあるほどです(*6)。
このようなデジタル化を背景に、現在ではBtoB企業の半数以上が供給元と会話をする前に、自ら得たデジタル情報を基に購買の意志を決定しているといわれています。BtoB顧客はデジタルを活用して能動的に情報収集をし、購入意思を固めてから問い合わせるようになったため、これまでのように顧客から問い合わせが来るのを待って名刺交換から始まる営業活動をしていては手遅れになってしまうのです(*7)。