過去2回の連載で、デジタルリード(見込み顧客)の育成を売上増加や販売管理費削減というマネジメントの視点から捉え、プロジェクトを企画・推進していく事の重要性について述べてきました。

 ここからは、現場レベルに掘り下げて、デジタルリード育成プロジェクトの要所を紹介します。今回は、リード育成プロジェクトの要所の一つである「マーケティング部門と営業部門の協働・連携」について説明します。リード育成を進める上で顧客との直接的接点である各販売チャネルの管理責任を担う部署や部門、とりわけ営業部門との連携は、リード育成プロジェクトの成否を分けるほど重要です。まずはリード育成の工程をひも解き、その重要性について見ていきましょう。

マーケターのリード育成工程

 マーケターのリード育成工程は、通常、「リードの選別」「コンテンツ配信と結果の評価」「営業部門へのリードの引き渡し」の順序で行われます。以下、順に説明します。

リードの「選別」

 Webサイトに登録された会員情報や展示会などのイベントで収集した名刺などのコンタクト情報を、選別する事から始まります。メールアドレスのドメイン(xxx@yyy.comのyyy.comの部分)には、リードの所属組織を特定できる情報が含まれています。

 多くの場合、競合他社やサプライヤーなど関連会社、さらに自社のドメインを持つリードは育成の対象から除外します。また、会員登録時に、製造業でいえば「一般産業用機械・装置製造業」「民生用電気機械器具製造業」「自動車・同附属品製造業」 などの詳細な業種データ(*1)を登録してもらっている場合は、それら登録業種情報を基にターゲットとなるリードを選別する事もできます。

リードへのコンテンツ「配信」と結果の「評価」

 続いて、メールやWebサイト、イベントなどを通じて、ターゲットであるリードの興味関心に即したコンテンツを複数回発信します。

 発信するコンテンツは、個々のリード育成プログラムによって異なるため、ここでは深く触れません。多くの場合、結果的にリードが自社の商材に興味を持ってくれるように、「課題認識」「課題整理」「解決策模索」「解決策選定・決定」「解決策実施」といった顧客が業務課題を検討する工程に応じて、あらかじめ顧客の役に立つコンテンツを用意しておき、段階的に発信する方法が用いられます。

 Webサイト上でコンテンツを公開する場合は、それぞれのコンテンツをリードが閲覧したか否かを計測できるWebトラッキングコードを各Webページに埋め込んでおきます。そして、リードが閲覧したか否かを評価(スコアリング)し、閲覧履歴などに応じて自社商材に既に興味を持つ有望リードを振り分けます。

 そうして振り分けた有望リードのうち、商談規模が大きく信用リスクの低いリードに対しては、電話を掛けて育成状況を確認し、再評価する手法(アウトバウンドコール)を行う事もあります。これらのリード評価は、比較的高単価または高付加価値な商材で、採用検討期間が長く、対面営業を主たる販売機能としてきたBtoB企業が、営業リソースを有効活用するためによく用いる手法です。Webスコアリングからアウトバウンドコールへと段階的にリードを評価することで、注力すべきリードを絞り込むことができます。

営業部門への「引渡」と「商談」

 最後の工程として、有望リードが営業担当者の訪問を希望する場合、マーケターはこれまでの育成経緯やリードの要件といった情報とともに、営業部門にリードを引き渡します。有望リードを引き受けた営業担当者は、リードを訪問し、要求検討や商材紹介などを実施し、商談成立に向けたアプローチを続けます。

(アクセンチュア作成)
(アクセンチュア作成)
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