インターネット企業だけでなく、最近では多くの一般企業がアプリケーション開発やサービス展開を迅速化するためのITインフラ技術(PaaS、コンテナなど)に着目している。これらの技術やソフトウエアの多くがOSS(オープンソースソフトウエア)であり、ITインフラへのOSSの適用範囲が拡大しつつある。今回は、OSSのストレージ製品や技術について、その特徴や今後のトレンドを紹介する。
OSSストレージとは?
これまでストレージ製品の多くは、専用のハードウエアとして提供されていた。ハードウエア内部では、ベンダーがストレージ用途に最適化し開発したソフトウエアが動作しており、ハードウエア及びソフトウエアの仕様やソースコードが公開されることはなかった。
一方で、顧客ニーズの変化や競争が激しくスピードが求められるインターネット企業は、ベンダーが提供する従来のストレージ製品では機能や拡張性において満足できず、「ないものは自分で作る」という考え方のもと、独自のストレージソフトウエアの開発に着手した。
こうした先進的な企業が開発した技術やソースコードの公開や寄贈によってスタートした、OSSストレージのプロジェクトは数多い。例えばGoogleが自社のストレージ基盤向けに開発した分散ファイルシステムである「Google File System」は、その後論文として技術仕様が公開され、本連載の前回で紹介したHDFS (Hadoop Distributed File System)の開発につながっている。このように先進的なOSSが技術革新をリードする流れは、アプリケーションやOSの分野ではより進んでおり、ストレージのようなITインフラ技術もその例外ではない。
図1に代表的なOSSストレージを整理した。ここでは、分散ストレージとして注目を集めている「Ceph(セフ)」と、より汎用的なOSSストレージアプライアンスについて取り上げる。