これまでの連載では、ストレージの機能やアーキテクチャにフォーカスして解説してきた。しかし、実際の業務システムにおけるストレージ選定において、ストレージの知識のみでは適切な機種選定や構成はできない。今回は着眼点をアプリケーション側に移し、以下の3つのアプリケーション特性をトピックとして、データベースやメールアプリケーションを例にストレージ選定について解説する。
- アプリケーションのI/Oワークロード特性(適材適所のストレージ選定)
- アプリケーションレベルの可用性維持の仕組み(クラスタリング構成の理解)
- アプリケーションレベルのデータ保護(データの整合性確保)
1.アプリケーションのI/Oワークロード特性(適材適所のストレージ選定)
アプリケーションのI/Oワークロード特性や性能要件は、一般にアプリケーション担当者が把握していると思われがちだ。しかし、残念ながらこれらの情報が明確にインフラやストレージ担当者に提示されるケースはまれである。そのため、ストレージ選定や構成サイジングを限られた情報の中で経験や勘を頼りに実施するケースは少なくない。本章では、選定に必要なアプリケーションのI/Oワークロード特性の基礎知識を説明することで、ストレージの適材適所実現の足がかりとなる情報を提供する。
アプリケーションのI/Oワークロード特性は、主にa)アクセスパターン、b)アクセス頻度 、c)応答性能要件の3つの軸で整理できる。以降、それぞれの軸について具体的に解説する。