企業の情報化を長く支えてきたネットワークインフラの主役が本格的な交代期を迎えている。退役が迫っているのは「イントラネット」「卓上型ビジネスホン」「有線LAN」の3つ。オフィスの隅々にまで普及して重宝されている、情報システムの “三種の神器”だ。

 代わりを務めるのは「クラウド」「スマートフォンを使う企業内線電話」「無線LAN」。既に製品やサービスは充実し、企業ネットワークでの活用事例も増えている。しかし、新旧のインフラを併用しているために導入効果が中途半端だったり、新システムが旧システムを一部補完する小規模導入にとどまったりしている事例が多いのも事実だ。

 例えばメールなど情報共有系のSaaS(Software as a Service)はこの1~2年で日本でも急速に普及した。しかし、企業に活用状況を聞くとメールやスケジュール管理の利用が大半で、「オンラインストレージやWeb会議など大半の機能は評価中」「ファイルサーバーはまだ代替できない」といった声が相次ぐ。

 ファイルサーバーや企業ポータルをイントラネットに置く自前主義は、コスト面やBCP(事業継続計画)の観点からもほとんど意義を失っている。それでも企業がサーバーを持ち続けているのは、慣れ親しんだ従来の仕組みや業務の進め方を、ささいであっても変えることに抵抗に感じているからだ。

 LANも全体設計を見直さず継ぎ足しで拡張せざるを得ず、無線と有線を非効率なまま混在させている企業は少なくない。

スマホを1台4役で使い倒す

 しかし企業ネットの技術動向や取り巻く経営環境の今後を見通せば、新旧交代を進めるタイミングは今が絶好と言える。

 実際、日本アジアグループは昨年に、政府資料や民間予測などを踏まえて2020年までの企業ネットの技術動向を予測し、スマートフォンで仕事が完結するワークスタイルを作り上げた。「将来性を考えれば、PBX(構内交換機)の更新を続ける意義は薄いと判断できたし、携帯電話も含めた無線の将来性を確信できた」(総務人事部の齋藤裕昭氏)。

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