タブレット導入で効果を高めるには、利用者のわがままにできるだけ答えること。ITシステムの導入では「ご法度」とされる“御用聞き”が成功に導く。サイゼリヤやセイコープレシジョン、養老乃瀧などの実践事例を見習おう。

説明不要、初日から即戦力
サイゼリヤ

 「きのこのラグースパゲッティのサラダセットと、セットドリンクバーですね。かしこまりました」。

 ここは都心のオフィスビルにあるサイゼリヤの1店舗。混雑が始まった夕飯どき、若い店員が、てきぱきと注文をとりながら、オーダー端末にタッチ入力していく。その手にあるのは、アップルの携帯情報端末「iPod Touch」──。

 イタリア料理チェーン「サイゼリヤ」を全国展開するサイゼリヤは、それまで使っていたオーダー専用端末に代えて、iPod Touchを全店に導入した。2012年9月のことだ。

アルバイトの多くを占める20歳代の若年層がミスなく操作できるよう、iPod Touchをオーダー端末に採用した(写真撮影:村田和聡)
アルバイトの多くを占める20歳代の若年層がミスなく操作できるよう、iPod Touchをオーダー端末に採用した(写真撮影:村田和聡)
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 導入プロジェクトに参加した、東日本第2ゾーンの久保聡志ゾーンマネジャーは、「新人アルバイトが操作を短時間で習得でき、操作ミスを減らせるオーダー端末がほしかった」と語る。

 全国に900の店舗を構える同社のアルバイトは7000人以上。その多くが20歳代の若手だ。“説明いらず”のオーダー端末の威力で、多くの新人が、初日からホール業務に従事できるようになった。

 専用端末を使っていたころは、「操作が複雑なため、基本操作の説明から始めて、キーの配置を覚えてもらうまで、時間をかけて教えていた。それでも、初日は結局ホールに出せないことも多かった」(同)という。1度ホールに出たら、端末操作だけに集中するわけにはいかない。余裕をもって入力できるようでないと、来店客が注文するスピードについていけず、焦るあまり操作ミスなどのトラブルが発生する。だが、こうした不安は、若者の多くがなじんでいるiPod Touchを導入したことで大幅に軽減された。

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