仙台の魚市場、上空1万メートルの飛行機内、大阪の回転寿司店…。これまで“IT不在”だった領域にタブレットが浸透し始めた。パソコンによる支援が難しかった仕事でもタブレットなら使いこなせる。

タブレットで魚市場革命
仙台水産

 11月1日午前6時。国内外から水産物が集まる仙台市中央卸売市場の一角には、198本のマグロが整然と並ぶ。その脇で、競りを取り仕切る「競り人」が、「15、15、15」と落札業者の番号を大声で叫ぶ。

 そんな競り人の隣で、タブレットを片手に、頭に装着したヘッドホン型マイクに声を吹き込む担当者がいる。担当者は「1900、15」というように、競り落とされたマグロの価格と落札業者の番号をつぶやく。すると、担当者の声は自動的に「1900円、15番」と認識され、タブレットの画面に表示されていく。

競りが始まる前に、商品の出荷者や産地、水揚げ港といった情報をタブレットに入力する
競りが始まる前に、商品の出荷者や産地、水揚げ港といった情報をタブレットに入力する(写真撮影:村田和聡)
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 これは水産物の卸売会社である仙台水産(仙台市)が導入した「音声現場入力システム」の利用シーンだ。仙台水産は2010年、Windowsを搭載したNECインフロンティアの業務用タブレットを約30台導入した。

 音声認識のミスはほとんどないというシステムの導入によって、仙台水産は大きな成果を得ている。競りが終わった後に発生していたデータ入力作業が無くなったのだ。システム導入前は、10人以上の担当者が4~5時間かけて、競りの最中に記録した魚の落札業者や価格、数量といったデータを販売管理システムに入力していた。

 仙台水産の熊谷純智社長COO(最高執行責任者)は「音声現場入力システムの導入で、業務効率は飛躍的に高まった。営業担当者の事務作業が減ったことで、仲卸業者や小売店の仕入れ担当者との商談や新商品の開発といった付加価値の高い仕事に集中できるようになった」と話す。

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