ここまでクラウドゲームに関して、その概要と、様々なジャンルの企業の参入に向けた動きなどを述べてきた。一方で、さらなる普及に向けて避けては通れない課題がある。それは「レイテンシ(遅延)」だ。

 例えばゲーム中に通信の遅延が発生し、ゲーム内のキャラクターの動きがカクカクになると、ゲームとしてはまったく価値がなくなってしまうだろう。特に、格闘ゲームやFPS(ファーストパーソンシューティング)など「タイミング」や「操作反応」が重要視されるようなゲームでは、ゲーム性が大きく損なわれてしまう。

 クラウドゲームがネットワークを介してサービスを提供する以上、サービス品質を保つにはレイテンシを改善することが必要不可欠な条件となる。今後、どのプレーヤーが覇権を握るにせよ、クラウドゲームが魅力的な市場として成長していくためには、ユーザーエクスペリエンスを損なわないことが重要になる。

改善の鍵をにぎるデータセンター側の処理能力

 レイテンシ改善の鍵となるのが「データセンター」と「ネットワーク」の高性能化だ。

 まず「データセンター」から見ていこう。データセンター側で生まれるレイテンシの主な要因としては、(1)画像処理やゲーム操作の反映などを処理するデータセンターのサーバー側の能力や、(2)ユーザーとデータセンターまでの物理的な距離が挙げられる(図3-1)。

図3-1●データセンター側の課題への対策
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 (1)データセンターの処理能力に関しては、前回紹介したNVIDIAやAMDなどのチップベンダーが提供する仮想GPU技術や圧縮技術などのソリューションが既に実現しており、一定の目処がついている。

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