利用部門の要望に応じ、タイムリーにシステムを提供し続ける「タイムリー開発」。DevOpsツールを活用すれば十分に実現可能だ。業種、規模を問わず、先進的な現場でその取り組みが始まっている。
中部電力のグループ企業の基幹系システムの開発・運用プロジェクト。これを担当する中電シーティーアイの大橋正敬氏(技術・ビジネスソリューション事業部 ビジネスシステム部 開発第1グループ リーダー)らのチームは、ある目標を立ててプロジェクトに臨んでいる。「開発担当者と運用担当者が一体となり、利用部門が求めるタイミングに合わせてシステムを提供し続ける」というものだ。
大橋氏は「利用部門の業務は日々、少しずつ変わっていくもの。その変化にシステム側が対応するのが半年後、1年後では遅すぎる」と話す。
チームはこの目標を達成する方法を検討し、開発プロセスや仕組みを整えてきた。開発プロセスには、大規模システム開発向けのアジャイル開発手法であるDAD(ディシプリンドアジャイルデリバリー)を採用。さらに仕組みとして、米IBMのALM(アプリケーションライフサイクル管理)ツール「Rational Team Concert(以下、RTC)」を2013年5月に導入した。
RTCの導入当初は、追加開発の案件やタスクを管理するためのチケット管理機能だけを利用していたものの、段階的に活用範囲を広げている。2014年1月までに、ソースコードのバージョン管理、自社開発ツールと組み合わせてのビルドの自動化などに活用するようになった。
RTCを本格活用して以降、チームに目覚ましい成果が出ている。例えばビルドを自動化した2013年9月は200本のプログラムを改修してリリースしたが、設定作業ミスなどによる障害が1件もなかった。
RTCをチケット管理だけに利用していた同年5月は、追加開発のプログラム本数は60本にとどまり、しかもこのうち10本は後で修正作業や顧客からの問い合わせ対応が必要になった。月間の改修本数を単純計算すれば、生産性を3倍超に高めた計算になる。